※ネタバレあり#22映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」感想その1

スパイダーマンが先輩ダーマンや友人らと難局を乗り越え、ヒーローの精神(責任感)を獲得する物語。

神作品。スパイダーマンシリーズの集大成。今後もスパイダーマンシリーズは続いていくだろうが、一つの終止符を打ってくれた。

鑑賞前の期待値はかなり高かった。あんな予告を見せられたら、そりゃそうなるだろう。が、本作はその期待値を大きく上回るものを我々に見せつけた。おかげで、複数回鑑賞した今も余韻に浸れるし、まだまだ見に行きたいと思う。

この作品に関わった全てのクリエイター(スタッフ)に最大級の賛辞を送りたい。2002年の『スパイダーマン』から『ノー・ウェイ・ホーム』までスパイダーマンシリーズを制作し続けた全ての人にだ。『スパイダーマン』の製作陣も20年後にこんな事態になるとは思いもしなかっただろう。

話はそれるが、本作はIP(知的財産)という面からも非常に興味深い。「スパイダーマン」という存在は1960年代に誕生し、いろいろなメディアで表現されてきた。そして、人気を獲得してきた。半世紀を超えた、最強のキャラクタービジネスだ。

キャッチコピー▶︎「全ての運命が集結する」
ジャンル▶︎ヒーロー、SF
要素▶︎MCU、マルチバース

【脚本】
クリス・マッケナとエリック・ソマーズの両氏が担当。

すばらしい。すばらしい。すばらしい。
本作は歴代ヴィランが大集合したり、スパイダーマンズがいたり、ドクターストレンジがいたりと登場人物の個性が強すぎるため、緻密に脚本を開発しないと物語が破綻する。が、各キャラクターに平等にスポットをあてつつ、物語のプロットが維持されていた。アッパレである。特に、ヴィランは本当に扱いが大変だっただろう。ヴィランは過去作の看板だ。だから、どれも蔑ろにできない。そんな制約を完全に克服していた。

オチもすばらしい。後述するが、本作は演出映画だ。画面に映し出される情報(演出)が圧倒的すぎて、シナリオの秀逸さを超えてしまっている恐ろしい作品だ。しかし、物語の筋はピーター1の成長を描いたシンプルなもので、繰り返しになるが、シナリオもすばらしい。特に、グリーンゴブリンへの殺意を押し殺し(しかも、それを先輩ダーマンが諭す)彼を救うシーンは葛藤を克服し成長した姿が明確に描かれている。その後、ピーター1は文字通り一人前のヒーローとなり、大きな決断を下す。

ラストは本当に切ない。筆者の性癖をくすぐるオチだ。最愛の人との別れ。それ自体はバッドな出来事なのに、ピーターの表情にはほんの少し悲しさをと清々しさがみてとれる。つまり、悲しい出来事であるけれども、決してバッドな物語ではないという明確なメッセージがそこにはある。このアンビバレントなラストは新海誠の『秒速5センチメートル』に似たものを感じる。

【演出】
本作の醍醐味。過去作のリスペクトが感じられた。見ていて「あ、このシーンは!」とピンときた人も多いのでは?

いうまでも無く、2人の先輩ダーマンが登場するシーンは見ていて鳥肌がたった。劇場内で「えっ⁉︎」と声を漏らす人も多く、間違いなく空気が変わった瞬間だった。

メイおばさんが死亡したシーンの次にこのシーンを持ってきたのは評価が高い。観客は死のショックに打ちのめされていた。つまり、ネガティブな心情になっていた。そんな心境の中、本作のビッグサプライズがなされる。前のシーンが絶望だったからこそ、この演出はより一層心を動かされるものとなり、観客に大大大興奮を与えた。余談だが、先輩ダーマンの登場は公開前から薄々勘づいていた人も多かったと思う。問題は、どのタイミングで登場するかであり、例えば「戦闘中のピンチに助っ人として登場」を想像した人は多いと思う(「スパイダーマン3」のハリーが来たときみたいな)。というか、私はそう思っていた。が、それはあまりにも凡庸すぎた。観客を驚かせるには、あのタイミングしかありえなかった。

その後の、3人のスパイダーマンの絡みも最高だ。ヒーローとして成熟している先輩ダーマン2人とヒーローとしては未熟(だった)トムホダーマンの対比が明らかだった。先輩ダーマンは憎しみが闘う理由にならないことを知っている。だからこそ、最終盤のグリーンゴブリン戦のシーンはとても盛り上がるのだ。

話はそれるが、デフォーの演技はまさに怪演だった。グリーンコブリンの恐ろしさは、戦闘力や禍々しいビジュアルではなく、デフォーの演技によるところが大きいと思う。2重人格という複雑な危険性をデフォーは今回も見してくれた。特に、表情。文字通りの「不敵な笑み」は、デフォーにしかできない唯一無二の演技だったと言える。

話は戻って、戦闘シーンについて。3人のスパイダーマンは連携が取れず、劣勢を強いられる。ちょっと、脚本は雑だったが(文句ではない)「スパイダーセンスを信じて戦おう」とトムホが伝え、3人が仕切り直しでマスクを被るシーンは鳥肌の上に鳥肌が立ちそうなくらい興奮した。あのシーンは音楽が良かった。確かメインテーマ(?)が流れていて、演出として最も盛り上がったシーンだ。月夜とスパイダーマンというお決まりの画が印象的だ。

【とりあえずここまで】
シンプルレビューを心がけているが、少々長くなってしまった。
一旦ここで切ろうと思う。でも、書きたいことのメインは書けたと思う。


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