1994年 SideA-1「Welcome to Ponkickies(GET UP AND DANCE)/キャスト」~「歩いて帰ろう/斉藤和義」
T.Armstrong & R.Smith作詞・作曲 光嶋誠・松本真介・松本洋介日本語詞~斉藤和義作詞・作曲 斉藤和義・松尾一彦編曲
・「ポンキッキーズ」(フジテレビ系ほか 1993/10/1~2018/3/25)オープニングテーマ
「ポンキッキーズ」は、1973年の放送開始以来20年間続いた「ひらけ!ポンキッキ」を終了させたフジテレビが1993年10月に始めた後継番組。“母と子のフジテレビ”時代の精神的支柱とも言える「ひらけ!ポンキッキ」に手をつけるのは相当に大きな決断だったと思うが、ガチャピン&ムックをレギュラーキャストとして残すなどイメージとしての一体感を保ちながら見事に90年代以降の子ども番組を象徴するプログラムへと再生を遂げた。
ポイントとなったのは「ポンキッキーズ」としてリスタートしてから半年後の1994年4月、「めざましテレビ」の放送開始に伴い放送時間が夕方に移動した時に、スチャダラパーのBOSE、電気グルーヴのピエール瀧、そして鈴木蘭々と安室奈美恵の4人をレギュラー出演者としたことである(当時決してメジャーではなかったこの4人を選べてしまうあたりに当時のフジテレビの勢いが感じられる)。そしてこのときオープニングテーマに採用されたのが、スチャダラパーの「GET UP AND DANCE」(アルバム「スチャダラ外伝」収録。FREEDOMというグループの同名曲のカバーである)のイントロ部分を改作、レギュラーキャストがみんなで歌った「Welcome to Ponkickies」と、斉藤和義の「歩いて帰ろう」であった。
「Welcome to Ponkickies」の寸鉄人を刺すが如きみぞおちワクワク頭クラクラ感もさることながら、「歩いて帰ろう」の大らかさあふれる詞とサウンドが当時の子どもたちに与えた解放感も相当なものだったと思う。結果「ひらけ!ポンキッキ」譲りの音楽センスをアップデートなJ-POPの文脈に巧みにシンクロさせた「ポンキッキーズ」は、バブルライクな親世代(ガチャピン&ムックにシンパシーのある初代「ポンキッキ」世代でもある)をも味方につけて見事「ポンキッキ」の遺伝子を後世に遺すことに成功した。その遺伝子はタイトル変更やBSフジへの枠移動など紆余曲折ありながら2018年まで生き残る。
2018年3月BSフジ「ポンキッキーズ」の終了により、ついに「ポンキッキ」のタイトルを残したシリーズがなくなり、初代の「ひらけ!ポンキッキ」放送開始から45年の長き歴史に幕を下ろした。とはいえ、現在ガチャピンとムックが司会をつとめる後継番組「ガチャムク」がBSフジで放送中で、いつまた「ポンキッキ」のタイトルが復活するかは、正直予断を許さない。