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黒いとびら

無意識の氷山が溶けて
足場を失い
黒焦げのトーストを棄てる
指輪は病気で嵌まらなくなった
新しいドアを探して
腿を露わにするガードル
年寄りはチップを手に
嬉々としていた
廃墟になった遊園地のプールは
ところどころに
生えたカビの匂いを放ち
白黒のフィルムで
記憶を蘇えらせては
神論者を欺く
鏡を覗いても私は何者か
分からない
頬が痩けていく
濡れて孕んで弱っていく
野犬みたいに

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