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翳る性(詩)

瞬く眼球の奥

翳っていく水槽

ぶつ切りした内臓

溶けていく骨をしまう

古い酒瓶を入れた

トランクケース

もう魚は死んだ

心は消耗し切っていて

街の人混みに蒸発する

何のために産まれてきたのか

分からないまま

水道水を飲み干す

命と個人の曖昧さ

吹く風は髪を煽り

頬を染めて

私を消した

手探りで哀しき性を

呪い続け

それが運命なら

諦めるしかない

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