INI vs BE:FIRSTの初週対決が開拓したのは…新たな地獄なのか
CDハーフミリオンのINI、ストリーミング歴代記録のBE:FIRSTという棲み分けをしてどちらのファンも満足のいく結果になったように思います。
しかし、この渦中に加わってない大多数の一般人にとってはどちらもヒット曲でもなんでもないってことは冷静に認識する必要があるかなと。
INIに関してはジャニーズグループでないのにハーフミリオン購入できるファンダムを形成する頑張るオタクが誕生したという事実が残っただけで、それは吉本・LAPONE・CJにとってはうれしいATMかもしれないけれど、イコール「Rocketeer」がヒットした訳ではない。それに、グローバルではCD売上は見られていない(Billboard Global 200にはフィジカルの売上は一切作用しない)ので、これでグローバル進出に近づいたとはまったく言えない。
BE:FIRSTはINIよりもライトなファン層が広がっているように思えるけれど、ストリーミング再生回数の大半がLINE MUSICのキャンペーンによる特殊な数値でありSpotify, Apple musicではデイリー50位にも入っていない。同じ「スッキリ」で生まれたグループでLINE MUSIC以外でもきちんと結果を出しているNiziUと比較すると、こちらもヒットしたとは言えない。それどころかむしろ、8月あたりから顕著になった「LINE MUSICのみでストリーミングチャートをハックする楽曲の存在」が問題視されやすくなったかもしれないです。たとえば私立恵比寿中学、たとえばときめき宣伝部、たとえば超特急…よく見るとここまで全部スターダストですが、ここにBE:FIRSTが加わっていていいのか。
過剰なCD売上が加算されないのと同様に、キャンペーンに汚染された外れ値を報告するLINE MUSICを信頼性の低さを理由に除外する方向になる可能性は(オリコンはともかくビルボードジャパンに関しては)あり得ると思います。
ただ、LINE MUSICが外れ値になってしまう真因はキャンペーンだけではなく、若年層の音楽支持動向をもっとも強く捉えているのがLINE MUSICだけになっているという問題もおそらく存在している気がするので、単純にLINE MUSICを排除すればいいということでもない気がするのですが。それに、LINE MUSICを排除しても別のDSPで類似のことが行われるだけのようにも思われ…永遠にいたちごっこ。
CD販売が収束してもオタクが頑張りすぎてしまう矛先が変わるだけで、新たな地獄の窯が開いただけという気がしてならないです。これを解決するにはキャッチフレーズでなく真にグローバル進出という出口展開に成功するグループが出現し、それが新たなロールモデルとなるのを待つしかないのかもしれないです(それも今のやりかたの延長線上では厳しそう)。
追記
よく、こういう話になると、ウィークリーにこだわるから過熱した不毛な競争が生まれるのでヒットしたかどうかは何か月も観測して判断するべきだという「正論」がチャートマニアから出てくるのですが、そういうひとほどまた別のところでは、「年間チャート上位になれそうな曲がウィークリー一位になれないのはチャート設計に欠陥があるのだ!」と主張している。そのたびにウィークリーにねちねちこだわっている張本人はあなたですよね?と思ってしまいますが、まぁ、いちいち言わないですが。
「オリコンはCD偏重だ」という同じ口で「オリコンはCD売上枚数を精査しているから本当の数字が分からない」と言ったり「LINE MUSICの数字を精査しろ」と言っているのも。挙げればきり無いのでここらで打ち止め。