「ハイカイ」
五時より少し前に目が覚めた
書きかけの小説を書き進めた
そこで私の燃料は尽きてしまった
交差する生き方に時花と重ねて
諦めたその唄に何を宿す?
久々に近所の沼へ散歩に行った
街道沿いで張っていたら
沼の名を持つ友人が
笑顔で手を振って出勤して行った
頑張れよ、とエールを投げ返した
泣き叫ぶことしかできなくなって
僕は心に何を描き生きればいい?
沼の畔には
今日も鳥達が集う
人慣れしていて
近寄っても離れはしない
凛々しく羽ばたき空を舞い
雄々しく水を掻き沼を泳ぐ
私は空を飛べない
私は水を泳げない
撒き餌に集う君達に
私は少し憧れた
赤いジェラート 赤いジェラート
お願い事を神様に心の声で呟き
住宅街を歩き続ける
時折朝陽が雲間から顔を覗かせる
半ばぬけがらのような心持で
小さな鉄塔を登る
白煙を吸い込んでは吐き
脱皮を試みる
希望あふれる朝焼けは
まるで世界の終わりかのように
この煙草を吸い終えた時に
私は脱皮する
ぬけがらを置き去りにして
ひと眠りして旅へ出よう
身体を崩して瓦礫寸前の
親愛なる朋輩の為に
悴む手
その指先は
何処を指す?
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