「予知夢」
こんな夢を見た。
私は見知らぬ校舎で退勤した。
見知った人に、挨拶をして。
その時、何かが胸の中につっかえて
それを変えようと校舎に戻った
真っ暗な廊下で、下校する生徒とすれ違う
車の鍵を忘れたふりをして
車の鍵を鞄にしまって職員室に入った
あの先生は
(何しに戻ってきたんだよ)
と言いたげな表情で
「どうしたんですか?」
と、問いかけてきた。
-車の鍵忘れまして。あれ?ないな。
俺はわざとらしく言う
-勘違いだったみたいです、すんません。
笑いながら誤魔化して職員室を出た
つっかえた棘は残ったまま
とぼとぼと校舎を出て、
後悔を残して立ち止まって振り向いた
そこには、二人の教え子がいた。
「先生、さようなら。帰らないんですか?」
「何かあったんですか?」
かつて、現実世界で諭した優しい二人
-忘れ物しちゃって、見つからないから迷ってて。
「じゃあ手伝いますよ!車の鍵っすか?」
「もしかして、職員室かもっすよ!」
二人に引っ張られるように職員室に戻る
緊張で手汗が止まらない
その教え子は、その先生が担任している
遅い時間に何考えてるんですか
子ども巻き込まないでもらえますか
そう言われる気がしてならなかった
職員室に戻る途中で、帰り際のその先生と会った
その先生が最後で、施錠してしまったようだ
-いやぁ、すみません。鍵見つからなくて。
その先生は、渋々職員室の鍵を再び開く
勿論、鍵は職員室に無い。
だって鞄に隠したのだから。
探すのを手伝う素振りをしながら、
「まだですか?どこしまったの?」
きつめの口調で詰められる
-先生、遅くに申し訳ありません。お時間下さい。
言葉が身体より先行して飛び出した。
私は、学年の為、そして担任の先生の為に、
自分なりに一生懸命やってるつもりです。
貴方は不満そうな顔をして、
私は貴方の考えが分かりません。
どうしたら、貴方の力になれますか?
私は、何すればいいですか?
或いは、何をしなければ良いですか?
その先生は、呆れた嘲笑を浮かべたように見えた
何言われたかは覚えてないが、散々に言われた
そこに、突然主任が現れた。
「笑顔」「優しさ」「目を見て話そう」
そんなことが描かれたポスターを指差し
俺とその先生を諭す
そこで目が覚めた
以前もその先生は夢に出てきた。
「貴方は、教師なんかじゃない。」
そう断言されたところで目が覚めたのだ
そしてその翌日
俺は自らの首を絞める思考ばかり
結局友人に迷惑を掛け
職場も三日穴を開け
休養を取らねば職務に専念出来なくなった
霜月からは仕事を全うした
その先生は、とても尊敬する面も多々ある。
だけど、去年と明らかに違う
私と全く目を合わさない
それが葛藤の一因であることは否定できない
前回見た夢では押し負けて
現実世界でも自分に敗北した。
今回見た夢は、
愛しの教え子の力を借りて
対等に渡り合った
明日からの仕事では
一体何が起きるんだろうね。
不安だけど、楽しみだ。