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まだ渦中なので君へ

1年が経った。

しかしまだ渦中なのだ。

これほどまで事態が停滞した1年後は想像していなかった。たぶん僕だけじゃないんだろうが、コロナは今日もこの街の中にいるし、出口は見えていない。

1年前に書き始めた「渦中から君へ」を読み返してみると、ああやっぱ君は成長してるな〜と感じる。たとえばiPadの操作も一年前はぼくやみおさんの手をつかわねばならなかったのに、今では自分でばんばん動画を切り替えていく。ロックの解除こそ自力でできないが、ロックさえ解除すれば自分でYouTubeを見るかアンパンマンのアプリをやるか、カメラロールを開けて自分の写真を眺めているときもある。去年に続きどこにも行けないこの連休も、仕方なく長い時間をiPadを見て過ごしている。

この連休中は部屋の散らかり方が半端ないのだが、その大きな一因が君の新たな趣味にある。それは「おきがえ」だ。自分の洋服の入っている衣装ケースからあらゆる服を引っ張り出してしまうので、ベッドルームは大変なことになっている。「プリンセス〜」と言いながらスカートのような服を好んで着るのだが、先日などは一日に何度もお色直しをしては、脱いだ服を脱ぎ捨てていた。保育園にはスカートが履いていけなかいなど着るものが制限されるので、休みの日くらいいいのかなと思うけれど、しかし本当に女子だな〜と思う。ボーイッシュな服着せようとしても見向きもしないし、化粧にも興味津々だ。デパートにお買い物に行くという内容の絵本が大好きで、見開きページにならんだ洋服から「じゃーどれにしよっかなー、これ!」と自分の好みの服を選んだり、おもちゃ売り場のページでも「じゃー〇〇はー、これ!」と好きなおもちゃを指差す。自分の好きなやつをぼくが指さすと「え、ダメだよ、パパはこれだよ」と自分の趣味じゃない男物の服やおもちゃを指定してくる。だからぼくはわざとガーリーなのを指さしてケンカに持ち込む。君はぜったいに譲らない。

結局、僕は去年は片手でおさまるほどしか映画館に行けなかったし、みおさんは一度も行ってないんじゃないかな。しかし今年は久々に2人で一緒に映画を見に行くことがあった。それは3月に公開された「シン:エヴァンゲリオン」だ。僕もみおさんもエヴァ世代だし、いよいよ最後ということでさすがにみおさんも行きたいということになった。君は例のごとくばあばのうちに預け、僕らが出かけるってなっても全然気にしない。相変わらずばあばのうちは大好きだからね。僕らは久々に地元の映画館に足を運び、帰りは行きつけのバーでほんのちょっと飲んでばあば宅に運転代行を頼んで帰ったのだった。

エヴァンゲリオンは放映時こそ全くスルーしていたが、中3のときに公開された「Air/まごころを君に」の前には深夜で一挙放送してた再放送を見ていて、映画館に見に行ったものだ。見てすぐにどの程度理解できていたのかは今やわからないけれど、小学校の低学年以来離れていたアニメを久々に見てハマっていく自分が新鮮だった。以来、その一挙放送が録画された3倍速のVHSをたまに見返しては「ああこれっておれのことだったんじゃん」という思いを強くしていったのだった。

君がエヴァンゲリオンとどういうタイミングで出会うのかはわからないけれど、ぼくもみおさんもある程度の年齢になったらごり押ししていくと思うからここでくだくだ書かないけれど、しかしタイミングを間違うとトラウマにもなりかねないとも思う。もしまだ見ていないからコンディションはよさげなときに始めることをすすめるな。あと、やっぱ新劇場版じゃなくてテレビシリーズから見てほしいかも。

いずれにしろこうして新劇場版も14年かけて完結してしまい、いよいよまたエヴァと別れるときがきたんだなという感慨。これはなかなか他の映画には変えがたい体験だったなと思う。スターウォーズもMCUもそうだけど、シリーズとして長く続けていれば観客と個人的につながっていくものだから。エヴァなんて中学で出会って、大学のときも見返したし、社会人やってるときに新劇場版がはじまり、「Q」は実はデンマークに留学してたから映画館で見られてなかったのよ。帰国してからソフトになったのを見てまあびっくりしたよ。そんな感じで今回、この最後の作品はなんと全く別なルートでエヴァに出会ってきた奥さんと一緒に映画館で見ることになったわけよ。ね?わかるかい、この感慨?ま、わからないよね。

どこにも行かないと言いつつもショッピングモールに買い物に行ったり、従兄弟たちに会いに行ったりはできたこの連休も、早いもんで明日で終わり。君はその従兄弟たちと遊び疲れて夕食の時間になるというのに寝てしまっている。でも明日も休みだし、自由に時間を使えばいいよね。


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