編集後記:芥川龍之介「猿蟹合戦」


みなさん、はじめまして。私は「めれんげ」といいます。遅ればせながら、文庫系の世界に突っ込むことに致しました。

さて今回は、初投稿作品である、猿蟹合戦の編集後記でございます。視聴後にお読みいただけることを前提にしますので、ネタバレもりもりです。あらかじめご了承ください。

最初に謝罪しなくてはいけないのが…。これが「芥川龍之介」の猿蟹合戦であることを、もう少しはっきりくっきり、示すべきだったことです…

コメントを見る限り、「童話」さるかに合戦と混同してしまった方が、たくさんいらっしゃるようです。ごめんなさい!

芥川龍之介の猿蟹合戦は、『童話では「猿をこらしめておしまい」の猿蟹合戦。しかしその後の様子を見ると、猿を殺したカニは殺人犯として裁きを受け、死刑となっているのだ』という内容です。

『「童話」さるかに合戦の後日談を、芥川龍之介が皮肉たっぷりに妄想した結果、うまれた作品』なんじゃないかなー、と思ったのと

原典の最後の最後に添えられた、芥川のメッセージ。これを私は重視したいと思い、このような翻案となりました。

(原典が気になる方は、ぜひ青空文庫からご覧になってください。超絶短いので、ちょっとの時間で読み終わっちゃうと思います。ぜひ。)

芥川の猿蟹合戦を楽しむには、童話「さるかに合戦」のあらすじを知っている必要があります。しかし、さるかに合戦は、多くの人が翻案を重ね、読み継いできた昔話です。

童話版の基本として、「まんが日本昔ばなし」のデータベースを拝見しましたが…参りました。童話ではカニが渋柿の一撃で死亡し、子どもが復讐をする筋書きになっています。どうやら、芥川が参考にした「さるかに合戦」とは、復讐者の立場が違うようです。

一身上の都合で、「カニは自分の感情に任せて、復讐を実行し満足している人(?)物」であってほしかった。加えて、それぞれがそれぞれの語り部から聞いた「さるかに合戦」を前提にしては、話の筋が通らなくなことから

そこで、カニに自分の武勇伝として、「この動画におけるさるかに合戦」を、語ってもらう事にしました。おかげでカニの小物感が増し、かなり愚か者に見える描き方となりました。役者さんになってもらった布都ちゃん、並びにファンの皆様、申し訳ねえです…。

さいごに、結末に関する話を少し。猿の娘が叫ぶ人の本質。私は、間違っているとは思いません。そして同時に…悪い事でも何でもないと思います。怒りに従うことで、加害を企む輩から身を護る。好奇心に従う事で、相手に関する情報を得る。そうしたことを積み重ね、人は今まで生き延びてきたと考えているからです。(単純に、感情を殺すのってめっちゃ苦しいですし)

私は今、「このお話を通して自分を知ってほしい」という自己顕示欲に従い、この文章を書いています。もしそれが、少しでも誰かの心に響いたとしたら、自己効力感が高まって、とっても嬉しい。

吐き出した感情が、誰かにとっての「たのしい」「嬉しい」「面白い」に繋がる事を、心より願いつつ

私の最初の文庫系動画の、〆とさせていただきます

ご視聴、ご閲覧、ありがとうございました!