川のひかり街のひかり人のひかり祈りのように優しい盛岡 | 盛岡旅行記(本編)
盛楼閣で冷麺を食べたら、やっと盛岡旅行が始まった。
まさか盛岡旅行記を書こうとして、到着から1時間までの流れで3000字を費やすとはわたしも思わなかった。
平野紗季子さんのPodcast「味な副音声」にご出演なさったのをきっかけにくどうれいんさんを知り、そこからご著書を読み漁り、ラジオ番組「丸顔たちは、きょうも空腹」に驚くほどドハマりしてしまったのが今年のこと。阿部さんとれいんさんのおしゃべりが本当に楽しく楽しくて、そこから気付けばノリと勢いだけで聖地巡礼をすべく盛岡に来てしまったからこうなっている。ちなみにハプニング続きの往路の記録はこちらから。
出発前夜、行きたいと思っていたところをポチポチ、Googleマップにピン挿しながら気付くのだ。
行きたいお店、結構お休みだな……?
ということで、行く前から分かっていたお休みのお店に加え、いくつか気になるお店がお休みの日だった。せっかくなので外観だけ眺めて回ることにした。旅程的に開店を待っておられず、というものもあるのだが、そこを含めても笑えるほどお店に振られまくった旅行だった。三連休の翌日とは、そういうものです。
せっかくなので行きたかったお店リストとして、ご紹介させてください。
冬限定のホットケーキはもちろん、それ以外にも
アルペン物語なる素敵なおやつがあるそう。行きたかった……
宮沢賢治の「やまなし」から名前がついたであろうお店。着くのが遅くなり、イートインの時間が10分前に終わっていた……無念……
お店の外までコーヒーの香ばしい香りがした。
川沿いにある、蔦に覆われしお店。外観から好み。
店内の居心地の良さはいろいろな方のnoteで知っていたので悲しい……
れいんさんが「味な副音声」でご紹介なさっていたお店。漁師さんがその日獲れた食材を使ってお料理を出してくださるそう。お店の前の自販機には、瓶ウニとれいんさんのご著書を発見……!
ちなみに実はお会いしたい方がいらっしゃり、「一緒に吉浜食堂で夜ご飯を食べませんか」とネットナンパした( ご遠方と後ほど知る ) のだが、休みやんけと後でなりました。本当に、見切り発車、ダメ絶対。
れいんさんの初めてのご著書「わたしを空腹にしないほうがいい」発祥の地( ? )
閉まっていてもわかる、絶対に好きなタイプの書店なだけに2日間連続お休みはいちばん悲しかった……
ちなみにこれ以外にも振られた場所は幾つかあるのだが、幾つかは翌日に回収できたので後述。悲しさのあまり写真は撮り忘れたが、それ+@で3箇所振られました。そんなことがあるかね?
そんな中でもせめて、と辿り着いたのが、もりおか啄木・賢治青春館である。
盛岡の街にゆかりのある石川啄木と宮沢賢治をテーマにした資料館。お二人の歴史もだが、亡くなったときの新聞の紙面や直筆の原稿などが展示されていた。翌日行った光原社でも同じことを思ったけれど、宮沢賢治が「現代の我々でも読める」同じ字を使って文章を実際に書いていたことに感動した。歴史がちゃんと、ひと続きになっている。
他にも行きたいところはあちこちあったが、夜はまだ長い。ということで、先に腹ごしらえ〜!駅に戻り、向かうは駅ビルフェザンの中、白龍!
さぁ始まりました!!!このために盛岡へ来たと言っても過言ではない!じゃじゃ麺タイム!!!
しっかりと「チータンタン」も注文し、いざ実食!
初めてのじゃじゃ麺、ラジオでしっかり予習して行ったが、正解を探るべく調味していたら食べ終えてしまい悔しかった……先人の知恵を活かして一口ずつに分け、やれお酢だラー油だお醤油だとかけて調味してみたが、幻のように通り過ぎていった……くやしい……とりあえず最後、一口分の麺を残して机上の卵を割り入れ、溶いてからお店の方にお声掛けをすると、茹で汁を注いでくださる。これが先ほどの「チータンタン」なのだが、これが一番美味しかった。迷いなき味。ただ、これは書きながら感じているが、もう一回リベンジしに行きたいと時間が経ってから思っている。じゃじゃ麺、魔物が取り憑いている?
冷麺、じゃじゃ麺と盛岡麺を堪能した後は盛岡駅周辺を歩いて回る。早めに夜ごはんを済ませたので、時間はまだたっぷりあるのだ。どこかで岩手の日本酒を飲みたいな、と思いながらブラブラして、たまたま目についたお店へ。
岩手のお酒が飲みたくて、あと甘口が好きなんですけど、とアレコレお伝えし、おすすめいただくままに赤武や酔仙、たてがみをいただく。
特に酔仙は、れいんさんがコラボで短歌を出していらしたので念願〜!ほんとうに端から端までれいんさん旅。常連さんがたと混じってカウンターに並び、いろんな話を伺った。岩手のこと、皆さまのお仕事のこと、働くことと長い人生のこと、それから野菜の保存方法まで。楽しい夜だったな。ほろ酔いでコンビニで買ったコーヒー片手にホテルへ戻り、友人と電話で話して眠る。誰かとの旅行もいいが、こうして好きに食べて飲んで眠る旅もだいすき。
さて、2日目〜!
友人との話が盛り上がり、3時過ぎまで話していたと記憶しているが、気合いで7時に起きる。なんでって、開店ダッシュしたいお店があったからです。半分眠りながら、そしてほどほどのメイクでお店へ。
関係ないけど、化粧下地もファンデも忘れてしまったので日焼け止めだけになりました。寝不足+アルコールを跳ね除けるコスデコのリポソームとトリデンのパックは最強。
着きました、ティーハウスリーベ!
実は前日も伺ったのだがお休みだった。満を持してリベンジ成功。れいんさんのエッセイに載っていたのはこの方なのだろうな、という方がお迎えくださる。二階へ、と案内されると同時に、はて困ったわねというお顔で続けてくださった。
「スズメが入っちゃったみたいなんですけど、いいですか?」
…………スズメが?
はい、と返して二階へ案内していただく。れいんさんのご著書やサインに内心華やぎつつ、はて、と思っていたら、ほんとうにいた。
チュンチュンチュン、と鳴いたかと思えば、ピチチ……とぐるぐる、すごい勢いで店内を旋回していた。おしゃれな内装、素敵なレコードがかかるなかでスズメが鳴いており、なかなかカオスだった。こういう予期せぬ旅の時間、楽しい。
さて本題のモーニングはというと、ピザトーストとコーヒーをいただいた。ふんわり厚切りのトーストに、スッキリとした飲み物が添えられている。コーヒーにはホイップクリームが別添えで出てきて、混ぜるとやさしく甘い。朝から贅沢な時間だった。
一旦ホテルへ戻って身支度を整え、向かったのはこちらも前日のリベンジ、岩手銀行赤レンガ館!
昨日は着くのが遅くなり、中に入れる時間を過ぎてしまったのだ。リベンジ成功〜!
東京駅と同じ、辰野金吾設計で銀行として建てられたそう。今はイベント会場になるほか、かつての様子が見られる展示で公開されている。
広々とした建物のなかで椅子に座って天井までを仰ぐと、まるで当時にタイムスリップしたみたい。ここで実際に働いていた人がいて、ここに足を運んでいた市民がいたのだと思うと、なんかいいなあ、と思う。生活の一部にこんなに美しい建物があるの、素敵だ。うっとりして、思わず長いこと天井を眺めていたらクラクラした。
はぁ〜〜……満足……と思いつつ、駅方面へ。目指すはこちらも前日はお休みだった、念願の場所。
( にしても、こんなに振られる旅行があるかね? )
光原社がある材木町は、宮沢賢治ゆかりの地としてその建物以外にも彼のアレコレがあってファンとしてはうれしい。
今回盛岡に行こうと決めたキッカケはくどうれいんさんだったけれど、九州に住んでいた学生時代から岩手に憧れていたのは、宮沢賢治の存在あってのことだ。詳しいかと言われたら自信があるわけではないのだけれど、彼の言葉の選び方、モノの見え方に惹かれ続け、今の職業に就かなかったら文学部で宮沢賢治について研究したいと思っていたくらい。光原社、ついに念願の地……!
宮沢賢治が生前に唯一発刊した「注文の多い料理店」が誕生した場所&宮沢賢治が社名をつけた場所である。盛岡が「モーリオ」「マリオ」になるのも、クラムボンが「カプカプ笑う」のも、正直分からんが、とにかくわたしはその感性がたまらん好き。
ちなみにれいんさんがこちらのくるみクッキーをおすすめなさっていたので、「ぜひ買って帰ろう!」と意気込んでいたのだが、売り切れていた……本当に、端々で振られる旅すぎて……!!!( 泣 )
あとはフェザンでお土産のお菓子を買い、昼からエイヤッとベアレンのカボスラードラーを飲み、ネギトロ丼を食べて、盛岡旅は終了!
とにかくたくさん歩き、気になるものを食べ、( お休みなさっているお店は多かったけれど ) 見て回れた旅だった。盛岡、まだまだ未練はあるけれど、今回の旅に悔いはなし!楽しかった〜〜!
……と、ここからはスペシャルすぎる後日談。
旅のあいだもずっと聴いていた、だいすきなラジオを盛岡旅の余韻に浸りながら翌日も聴いていた。
盛岡の街を歩きながらせっせと聴いていた甲斐あり、やっと最新回に追いついた!とホクホクしながら聴いていたのである。
「先日プレゼントの応募もありましたので」と始まったお便りを紹介する話題に、あ、そうそう。と思いながら続きを聴く。にしても、れいんさんと阿部さんのお声ってなんて心地よいのかしら。
「どうしても読みたいものがありまして」という前置きで一通のお便りが読まれ、
…………あまりにも、知りすぎているおバカ丸出しラジオネームが聞こえたので、時が止まった。
だってそれは、自分が書いたものだったから。
れいんさんの新刊「日記の練習」のサイン本プレゼントキャンペーンをなさっていたので、それ欲しさに初めてメッセージをお送りしたのだ。まさか、こんなふうに読んでくださっているなんて。まさか、推しのおふたりが、わたしのメッセージを。
転職祝いに我々から、ダブルサインをお贈りします!と締めくくられたラジオを聴いて、慌ててイヤホンを外した。夢みたいなことが起きてしまった。
帰宅したらまさしく、件のプレゼントが届いており、文字通りひっくり返るかと思った。
なぜか増えゆく仕事と転職活動で、「今日も夫と『おやすみ』しか交わせなかった……」と嘆く日が続いた9月だった。ようやくひと段落して、やっと食欲も夫と話せる生活も戻ってきたのがここ最近のこと。手繰り寄せるようにして夫と過ごす時間を集めずとも、自分たちのペースで生活できるようになった。とにかくアラームをかけずに好きなだけ寝たい、なにも考えたくない、と思う日々がやっとひと段落した。それで決めた盛岡旅行だった。
ここまで来られたのは、れいんさんのエッセイがあったおかげで、れいんさん阿部さんの「丸顔たちは、きょうも空腹」があったおかげだった。
感謝したいのはこちらのほうなのに、こんなにも素敵なプレゼントをいただいてしまった。
悔しいなあ、こんなに振られまくる旅なんて今まで無かったのに。縁がないのか?!と思いたくなるような旅だったのに。どこを歩いても心地が良くて、いつまでも歩いていられるような街だったのだ、どうしても好きになってしまう。
また絶対に、リベンジします。今度は計画を慎重に立てて、定休日を確認して。
楽しい盛岡旅でした!ありがとう盛岡!
( 4900字!長い!お付き合いありがとうございました! )