ガスの夢
どういう理由だったか忘れたが、近々みんな死ぬということになって、集団で安楽死する夢を見た。記憶が消えるというガスが充満してくる。心の中でカウントダウンする。もし苦しいとしても一瞬のことだ、別に心残りはない、そう自分に言い聞かせる。何かを考える隙間が無いように。
全身麻酔で意識が遠退くようにあっという間かと思っていたが、別に苦しくもなく、記憶もまだ消えていく気配がない。じわじわと効いてくるのだろう。そのせいで、ふと、母親に最後に連絡しとけばよかったなあなどと考えてしまう。いつ記憶が消える瞬間が訪れるか分からない。