やまぐちの場所 むつみ(萩市)
大地と命のむつまじい共生
2005年に萩市に統合されるまで、むつみ地区は約50年間「むつみ村」という日本で唯一の平仮名の地名がつけられていた。
日本海側でも県北に位置する標高400~500メートルの山間の地だ。細いでこぼことした山道を通り抜けて広がる田園風景は都会人にとっても理想郷であるだろう。
自然に恵まれた四季の移り変わりが美しく、春には野生の芹やクレソン、用水路に自生する蜆、初夏には池でとれる蓴菜、夏には一面のひまわりロード、そして秋には黄金色の稲が輝く。
特にこのむつみ地区周辺の県北地域は、県内でも大変評価の高い米所だ。肥沃な土地と豊富な水資源、朝晩の温度差といった好条件に恵まれ、味、粘り、香りがそろった米を少量ながら生産し、台湾などへも高値で出荷されている。
キジやうり坊が住み、里山に恵まれた地は、仲むつまじい「睦み」を連想させる響きの通り、江戸時代も同じ風景を見せてくれたに違いない。
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