ピアノを弾くだけのニーチェに淡々と思いを馳せる
木田元先生のお名前を初めて知ったのは、大学でドゥルーズの『経験論と主体性』を読んでいたときだった。この本は大事なことが書いてある気がする、でも何を言っているんだか読めば読むほど分からん、彼はいったい何を考えていたんだろう……とぐるぐる回りながら、へたくそなレジュメを毎月つくっていた。分からないながらもドゥルーズ思想は研究に居すわりつづけたので、したがって参考文献一覧から訳者名も消えることがなかった。そんな経緯があり、直接の著書を読んだことがないにもかかわらず、木田先生のお名前