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電子帳簿保存法のまとめ

皆さん、こんにちは!
長らくご無沙汰しておりました。。。
今回は、業務改善DXと密接に繋がる「電子帳簿保存法」の内容について書きました。

電子帳簿保存法についてのセミナーや記事は多いですが、「現実的な落としどころ」が書かれているケースが少ないと感じたので、今回まとめてみました!


1.電子帳簿保存法の目的

電子帳簿保存法の目的は、「正確に効率良く税務調査を行う事」です。

これまでは、仕訳の情報と紙ベースの証憑を手作業で紐づけし、「仕訳の内容に虚偽がないかどうか」を調べてました。これだと人手と時間がかかるので、効率が悪いです。

紐づけ作業を楽にするには、「証憑を電子データ化し、システム上で仕訳情報と電子データを紐づけ、検索できるようにする」必要があります。

これが電子帳簿保存法の趣旨であり、企業に求められるのは、「電子データ化し、検索できる体制作りを整える事」です。

2.電子帳簿保存法の概要

では、実際何をどこまでやれば良いのでしょうか。
「全ての証憑を電子データ化し、検索できる事」が国税庁としての目標だと思いますが、スキャナを購入したり、システムを導入したりとお金がかかるので、企業に全てを求めておりません

下図に法律との関係性をまとめました。
今回の法改正で義務化されたのは、「電子データで受領した証憑に関する電子データ形式での保存のみ」です(国税庁のサイトに電子帳簿保存法の概要が載ってます)。

ここで言う電子データとは、以下の取引から得られた書類を指しております。データとして受領した「見積書・注文書・納品書・請求書・領収書など」が該当します。

例えば、Amazon Businessでお買い物をした場合、紙の請求書は受領せず、Amazon Businessのサイト上で請求書や領収書を発行します。このように、紙で発行されない証憑は、データとして保管する必要があります。

従い、今回の法改正は「少なくとも電子取引はデータで保管して検索できるようにして下さい。紙の取引の電子化は任意です。」という形です。

3.2つに分かれる対応方針

「義務化部分だけ対応すれば良い」という考えもありますが、今回の法改正は企業側もメリットがあります。それは、「国税庁が指定する条件で、紙の証憑をスキャナで電子化して保存すれば、紙を捨ててOK」というものです。

紙の証憑を7年間保存せずに処分できるため、保管の負担を減らすことができます。その為、企業としては、「任意適用も対応し、紙の保管を無くす積極的な対応」、「義務化部分だけ応じる消極的な対応」の2パターンに分かれます。

対応方法は2つあるのですが、電子取引が多少でもあると、結果的に前者の任意適用にも取り組む事になります。それは次の理由からです。

4.電子取引データ保存の業務フローを考える

経理担当者の立場になって考えます。
電子取引データを収集する際には、以下の行動を取るはずです。

①どの取引が電子取引か把握する
②電子取引に対して電子データを提出するよう従業員に依頼する
③電子取引と仕訳情報を連携させる

ポイントは②にあります。これまでは経理担当者のデスクに紙を置くだけで良かった所、今回の義務化によって、電子データを経理担当者へ提出する業務フローを構築する必要が生じます。

経理担当者は、Aの取引は紙で処理、Bの取引は電子データを貰う処理と作業が複雑化します。その為、「全部オンライン上で証憑データ貰って管理すれば、楽じゃん」という結論に至り、「任意適用も対応し、紙の保管を無くす積極的な対応」を取る事になります。

この結論に至らない例外は、「主計業務を社長が行っているケース」です。主計が自分であれば、どの取引が紙で、どの取引が電子取引か分かり、義務化部分のみ対応する形でも問題が生じにくいからです。

逆に、経理担当者がいて、「任意適用も対応し、紙の保管を無くす積極的な対応」をするに至らない会社は、電子取引データの保存義務化を徹底できておらず、抜け漏れが発生している可能性が高いです。

5.電子取引データ保存義務化にどう対応すべきか

①既存の電子取引を把握する事
過去の紙の証憑を見て、会社でどのような電子取引が発生しているのか把握しましょう。法人カードを使っていれば、明細を見る事で傾向(誰が利用頻度高いか、何の費用で使っているのか)を把握できます。

②証憑を集める業務フローを構築する事
証憑としては、受取請求書・カード支払いが該当します。オンライン上で決裁の業務フローを構築し、仕訳を切る前に情報を集められる体制を構築します。ワークフローと経費精算を作れるSaaSがおススメです。

また、証憑回収依頼機能のある法人カードを使い、効率的に収集する方法もおススメです。

これらで集めた証憑をクラウド会計システム上でアップロードし、仕訳と連携させ、電子データ保存の義務化に対応する事ができます。

③電子取引データを意図的に増やす事(オプション)
本気で効率化したいなら、電子取引の割合を増やして紙スキャンを減らす必要があります。具体的な対応は、「取引先からPDFで請求書を受領する事」、「消耗品をAmazon Businessで購入する事」です。
これだけで、かなりの割合の取引を電子データ化させることができます。

以上、長々となりましたが、概要と具体的な実務についてでした。
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