劇場をみた
プライムで配信されている劇場をみた。
小説が原作の、恋愛映画。ダメな人間がでてくる系。これは、眠くなるタイプの映画だろうから、映画館ではなく家で見るのはちょっとなぁと思いつつ、暇つぶしに見てしまった。
そしたら、想像以上に面白くて、言葉をいくつか残しておきたいと思ったくらいに心が動かされている。
主人公の語りでストーリーが展開されていくのだけど、それが淡々と、覇気もなく、ややゆっくりなスピードなので下手すると眠くなる。やっぱり眠くなる系のやつだわ、そう思った。(私は人より寝るのが得意ダ。)でも、眠くならなかった。それは、ダメな主人公やヒロインたちにどんどん興味が出てくるのと、どうしようもない彼らの心の動きや行動に反感や共感を覚えていくらからなんだろうか、話しに引き込まれていってしまった感じだ。あと、そのてんぽが小説を読み進めるようなテンポだったと個人的には思えて、良かった。いろんな感情の動きを注意深く考察しながら、想像しながら、本を読み進めていくようなテンポで映画を見た。
ストーリーはしごく純粋な恋愛映画で、男女の出会いから別れまでを描いたものではある。ただ、芸術で食べていくこと、才能、夢を追うこと、世間一般の常識、年齢、結婚、東京で生きていくこと、愛情、憎しみ、卑屈さ、嫉妬、ひがみ、信念、自己愛、承認欲求などなどほんとに様々なテーマが含有されていて、見る人にとってたぶん心動かされる部分が変わってくると思った。そこがおもしろい。今見て感じることと、人生のフェースや悩みがまた違う時期にみるのとでは感想が違ってくるのではないかと思う。人間にまとわりついてくる様々な葛藤を含んだ、人間について深く考察されている内容だと感じた。わたしは演劇という芸術についてはうといから、演劇関係の人が見たらまたほんとにいろんなことを感じるだろうな。ただ、物作りをする人間として、才能の有無やお金を稼ぐこと、夢を追うこと、他者との比較による嫉妬や焦りなど、わかる分かるっていう部分も多かった。
ところで、登場人物をダメな人間とだいぶ雑に表現したけど、本当はダメなんてどこにもない。必死にもがいて生きてる様はなんとなく生きてる自分よりずっとずっとずっと立派だとも思う。そのエネルギーはまばゆいぜ、とさえ思った。いや、だからと言ってわたしも別にダメじゃない。なんとなく生きるのも、生きるための一つの方法であって、そういう時期があってもいいし、一生そうでもいいし、(客観的に見て)ダメそうな生き方をしちゃったってもう別にいいんだって最近は思える。
あぁしかし、主人公も彼女も、どっちもダメダメで、見てて苦しかったけど、まぶしかったなぁ。こういう映画、好きだなぁ。
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