満員電車で胎児を目指す
緊急事態宣言が出てからしばらくが経つ。電車は本数が減り、ゆったりしていた終電の時間は繰り上がり、鉄道各社は赤字が膨らんでいる。
しかし人々は満員電車をやめられない。東京都の家賃は他の国にある大都市と比べると平均値は安いにもかかわらず、わざわざベッドタウンに身を置き、満員電車に揺られて通勤する。働くひとたちの収入が少なく、ベッドタウンにしか住めない経済の問題だとひとまとめにするならば、それも一理ある。だれが好き好んで満員電車に乗っているものかといった怒りは、至極まっとうである。