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ミドルシニアの力を組織と社会へ還元する職場開発&キャリアコンサルティング
起業家の卵を紹介するメディア「名刺代わり」。第10弾は、ミドルシニアが活躍できる社会づくりを進める坂野(ばんの)さん。定年退職後に第二のキャリアを歩むため、大企業で働きながら起業準備を進めてきました。
自身が中堅社員時代から、シニア人材のマネジメント経験をし、現在は自らがミドルシニア世代になったことで、企業や社会が抱える課題と、ミドルシニアの可能性が見えてきたといいます。今回は、坂野さんが考えるミドルシニアが活躍するためのアプローチを紹介します。
ミドルシニアの経験とスキルを社会へ!個人と職場を変えるキャリアコンサルタントの役割とは
ーまずは坂野さんのビジョンを聞かせてください。
私が目指しているのは、ミドルシニアが活躍できる組織、ひいては社会です。それまで組織の中で様々な経験を積み、スキルを磨いてきたミドルシニアが、会社や社会で居場所がなくなるのはもったいない。
わたし自身、長年企業で働いてきて感じるのは、企業におけるキャリアパスが固定的で、特に40代から60代の「ミドル・シニア」と呼ばれる中高年層が新たな挑戦をする機会が乏しいこと。その結果それまで培ってきた経験やスキルが社会に還元されないまま、キャリアの後半もしくは定年後の生活を送る人も少なくありません。
ミドルシニアが活躍できる機会を作ることで、本人たちが生きがいを感じながら、彼ら彼女らが持つリソースを組織と社会に還元できる社会づくりを目指しています。その結果としてミドルシニアが企業の業績に貢献でき、社会との繋がりを持ち続けることができると考えます。
ーミドルシニアが活躍するためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。
「個人」と「組織」両方へのアプローチが必要だと感じています。まず個人に対しては、自分自身の価値を改めて見つめ直し、組織での役割を認識してもらわなければなりません。なぜなら、時代の変化が激しく新たな技術が次々に登場する中で、ミドルシニアもまた自信を失っているケースも多いからです。
そのような方には、まずは自分の経験を振り返り、自身の強みや価値を再定義してもらいます。その上で、変化に対応する力を養うために、新しい学びや挑戦を続ける必要があります。
私自身、長い社会人生活が決して順風満帆だったわけではありません。しかしうまくいかない時にこそ、成長するために挑戦を繰り返してきました。私はそれを「キャリアの筋トレ」と呼んでいます。それらのノウハウを伝えたり、一緒にスキルを見直し向上することで、少しでも長く活躍できるミドルシニアを増やしていきたいと思います。
組織で働くということはメリットも多いですが、その反面、選べない上司、理不尽な人事異動や転勤などにしばしば直面します。しかしどのような状況においても決して諦めず、自分自身のキャリアを開発し続けていく姿勢がとても大切です。
ー「組織」には、どのようなアプローチが必要なのか聞かせてください。
企業に必要なのは、ミドルシニアの価値に気づいてもらうことです。どんなにミドルシニアの方々が自分の価値に気づいても、組織が気づかなければ活かせません。しかし一方で、企業は若い人材を育て、活用することを優先させなければならないため、ミドルシニア世代にまで手が回らないのも理解できます。
だからこそ、外部からの刺激が必要なのです。ミドルシニアがどんなスキルを持っており、それらをどのように活かすことができるのかを一緒に考え、ミドルシニアの居場所づくりを支援します。社内のミドルシニアが活躍すれば、きっと若手にも良い刺激となります。
逆に言えば、ミドルシニアが蔑ろにされている組織では、それを見た若手もまた「自分たちも将来はああなってしまうのか」と不安に感じてしまうもの。年を重ねても、いえ、年を重ねるからこそ、新たな挑戦ができる職場であれば、若手社員もやりがいを持って働けるはずです。
定年前の「不遇な扱い」に憤り。ミドルシニアが輝くために立ち上がる
ーなぜミドルシニアにフォーカスしたのか、そのきっかけを聞かせてください。
私がいま、企業で働きながらミドルシニアが不遇な扱いを受けているのを目の当たりにしているからです。それまでさまざまな部署で活躍してきたミドルシニアが、会社の都合によって、十分な理由も告げられないまま意に沿わない異動や出向を強いられています。中にはそれまでの業務内容とは全く関係のない単純作業を命じられるという状況も生じています。私自身もそのような出向を命じられ「なぜ自分が…」、「これは私がやる仕事なのか?」と葛藤しました。
同時にミドルシニアが本人の納得感のないまま、身につけたスキルや経験を活かせない部署に異動させられ、モチベーションを下げている状況を非常にもったいなく感じました。
このような定年を控えて閑職に追いやられているミドルシニアのリソースを、組織がしっかりと活用できれば、大きな価値を生み出せると思ったのです。さらに組織で働く社員は、想定外の状況に追い込まれる可能性を日頃から覚悟して、自分のキャリアについて考えておくことの重要性を痛感しました。「キャリアのオーナーシップを会社に預けっぱなしにしておかない」ことの大切さがここにあります。私自身の失敗や反省も踏まえて、会社のために頑張っているミドルシニアを輝かせたいと思っています。
ー坂野さん自身は、若い時にシニア人材とどのようなコミュニケーションをしてきたのでしょうか?
実は私も中堅社員の頃に、シニア層とのコミュニケーションに苦労したことがありました。当時、営業サポートを行う部署のリーダーを任されていて、チームには定年後に再雇用された先輩たちが大勢いたのです。
マネジメントする側とされる側の距離を感じ、命令ではなく対話を通じて関係を築く必要性を実感しました。その時にキャリアコンサルタントの資格を取得し「傾聴」によって、年上部下との信頼関係を築く術やチームづくりのスキルを学んだのです。
今も年上部下のマネジメントに悩んでいる方は大勢いるでしょう。私が経験したこと、学んだことをシェアすることで、年齢や社歴に関係なく信頼関係を築ける職場を増やしていきたいと思っています。
ー現在はどのような取り組みをしているのか聞かせてください。
現在は社内メンターとしてミドルシニア世代向けにキャリア相談を行っています。なかでも多い相談が「定年退職した後の人生をどう生きていけばいいかわからない」というもの。私自身がこれまで自己投資をして学び続けてきた経験をお話しすると「なぜその年齢で学び続けられるのか?」とよく聞かれます。そのように人たちに、学ぶことの楽しさと、学びを継続させることで得られるメリットをお伝えしています。
また、キャリア研修の講師も行っており、将来は外部の研修講師としてより多くの方にキャリアについて伝えたいと思っています。現在は副業としての活動ですが、定年退職に向けて本格的な起業準備を進めています。起業後は「社員を大切にしたい」、「ミドルシニア人材にもっと活躍してほしい」と考えている経営者のパートナーとして職場開発の支援を通じて企業の業績向上と社員のやりがい向上のお役に立ちたいですね。
linkedinのURL:www.linkedin.com/in/t-banno