若者と政治をつなぐ架け橋に。高校生が挑む、本格的な「模擬投票イベント」
起業家の卵のアイディアを伝えるメディア「名刺代わり」。第8弾は、若者と政治をつなぐアイディアを考える谷さん。高校生ながら、母校に政治家たちを呼び、生徒たちによる投票イベントを開きました。
様々な法律の成約により、若者が政治に関わりにくい日本。谷さん自身も、成人して投票権を持って初めて「誰に投票すればいいんだろう」と疑問に思ったと言います。谷さんが投票イベントを開こうと思ったきっかけや、理想とする若者の政治参加の形について語ってもらいました。
若者と政治をつなぐ、実践的な模擬投票イベント
ーまずは谷さんのアイディアを聞かせてください。
私が実現したいのは「行政にはできない実践的な政治教育」です。具体的には模擬投票イベントを普及したいと思っています。実は行政も小学校~高校を訪問して模擬投票イベントを開いているのですが、教育基本法により政治に関連した内容はできません。
たとえば「給食のメニューをどうすればいいか」という内容で、民主主義の基本を学ぶためのものなので、政治を学ぶことはできないのです。私が行いたいのは、若者が政治と繋がるための場を提供することなので、より実践的な投票イベントを開催したいと思っています。
ーこれまでは実践的な投票イベントはなかったのでしょうか。
国内では聞きませんが、海外では一般的に行われています。たとえばデンマークでは各政党の若手が学校を訪れ、党の方針やマニュフェストについて語り、実際に投票を行うのです。そのような取り組みが州や地区単位で行われており、学生たちも何巡万人と集まります。
日本では規模が小さい上に、テーマも政治とかけ離れているため、あまり認知が広がっていない印象です。
ー実際に活動していることがあれば教えて下さい。
2024年7月に、私が通っている同志社高校に政治家の方々を招き、実際に投票イベントを開催しました。政治家の方々の話を聞いて、200名もの中高生が投票したんです。
その取組は新聞にも取り上げられ「単発で終わらせるのはもったいない」と、同志社高校と立命館高校の生徒で学生団体ミラコエを立ち上げました。2025年2月には、京都市でもっと大規模な投票イベントを開催する予定です。
ー政治家の方たちが実際に学校に足を運んでくれるのですね。
実は政治家の方たちも、自分たちの想いや政治方針について語る場を望んでいるんです。しかし、法律によって学校を訪れて演説することはできません。ただし、学校から招待された形であれば学校で演説できるため、政治家の方たちもとても協力的でした。
学校としても投票イベントのために授業の時間を潰すことはできませんが、生徒が自主的に開催したこと、そしてテスト最終日の時間を使うことで実施させてもらったのです。
母の背中と政治への疑問が導いた、新たな政治参加のかたち
ー投票イベントを開こうと思ったきっかけを教えて下さい。
「自分の意見で社会を変えること」に興味を持ったのは、2015年に母が選択的夫婦別姓訴訟の原告になったのがきっかけです。不公平だと思っていることに声を挙げ、メディアに取り上げられるほど活躍している母を見て、子どもながらに「かっこいい」と思いました。
政治に興味を持ったのは、高校3年生になった今年のことです。新成人になり投票権が与えられたものの、誰に投票すればいいのか全く分からなくて。授業で政治について学んだものの、インプットばかりだったので何も記憶に残っていません。
「これじゃあ、せっかく投票権があっても誰も投票にいかないだろう」と思い、もっと若者が政治に興味を持つきっかけを作りたいと思い投票イベントを開催したのです。
ー投票イベントの先のビジョンも考えているのでしょうか。
若者向けの政治塾を開きたいと思っています。投票イベントで政治に関心を持った方たちが、もっと本格的に政治参加したいと思った際の受け皿を作るのが目標です。
そのような取り組みを通して、若者たちに「自分たち次第で社会を変えられると」というメッセージを届けたくて。「ブラック校則」のように、本来なら僕らが安全に楽しく暮らすためのルールが、逆に僕らを苦しめているケースは少なくありません。時代の変化にルールがマッチしていない典型だと思います。
しかし、盲目的に「ルールを守るのが偉い」と考えていては、社会は変わりませんし幸せにはなりません。逆に、ただルールに逆らっているだけでは、社会生活を送れないでしょう。もしもルールが今の自分達の生活に合っていないなら、手を上げてルールを変える若者を増やしたいと思いますし、その手段が政治であり投票だと思うのです。
ー最後に直近の目標も聞かせてください。
今は2月のイベントに向けて動いていますが、リソースが足りません。会場を借りたり集客をしたりするにもお金がかかるため、クラウドファウンディングで資金調達しているところです。ぜひ、若者が政治に関わる場づくりに協力してくれる方は、協力してください。
また、現在は学生団体のメンバー8名で活動していますが、大規模なイベントを運営するには人手が足りません。もしも政治に興味のある高校生や大学生がいたら、イベントスタッフとして協力してもらえたら嬉しいです。
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