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「司法書士」と「弁護士」の役割

「司法書士と弁護士の違いとは?」

これは、私自身度々聞かれる質問です。学生の視点で見ると、法学部に在籍し法律を学ぶ中で多くの人が司法試験を目指すというのは自然な流れです。特に法律に興味を持つ学生にとって、司法試験は一つの大きな目標であり、弁護士という職業に対する憧れも強いでしょう。しかし、司法試験は非常に難関であり、多くの時間と努力を必要とします。そこで、司法書士という道を選ぶ人がいます。「司法試験が難しいから司法書士にした」という選択は、現実的なキャリア選択として理解できます。仕事に早くつかなくてはならない!という経済的な現実が、この選択に影響を与えることもあるのではないでしょうか。
かくいう私自身も最初のきっかけはそんな感じでした。

私自身、司法書士として20年近く働いてみて感じるのは、「弁護士でなくてよかった」という思いです。なぜなら、司法書士は弁護士とは異なる役割を持ち、特に予防法務に重点を置く内容が自分に合っていたと思うからです。
弁護士は紛争が発生した後に解決を図ることが多い職業ですが、司法書士は紛争が発生する前に手続きを整えることで問題を予防するという重要な役割を担っています。もちろん、弁護士も予防法務の視点を持っていますが、司法書士はその手続き面にも特化している分、「予防」という視点が強いと思います。

司法書士の仕事は、特に法律実務の手続きに非常に精通しており、銀行や不動産会社からの依頼で不動産売買の場面で不動産登記を行うのが主な業務です。いわゆる「決済業務」ですね。日本の経済の中心が金融や不動産によって動いている中で、司法書士はその手続きをサポートする重要な役割を担っており、経済活動の基盤を支える存在でもあると考えています。
特に、不動産や株式などの価値が動く場面で、正確な手続きを行う司法書士は非常にビジネス的な役割が強いと感じています。

弁護士が紛争を解決する「争いごと」の専門家である一方で、司法書士は「未来に向け前向きなスタートを手助けする」存在です。不動産を購入の場面以外にも、会社を設立したり、相続手続きを支援するなど、クライアントが新しいステップを踏み出す際に、それらのサポートを行うことが私にとっては大きなやりがいです。紛争解決ももちろん意義のある仕事ですが、こうした前向きな手続きに携わることができるという点で、私は司法書士の道を選んでよかったと感じています。

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