安田峰俊
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片手間で教える文章講座10 著書を出す場合に知っておくこと
世間の多くの人にとって、自著の出版は非常に高い山であるように思えるだろう。近年は紙の書籍の値打ちが大きく下がったが、それでも、一般の出版社から商業的に刊行された「著書がある」ことは大きな意味を持つ。
本業の分野で著書がある人は自分のプロフィールに箔がつくし、自分が平均以上の知識やスキルを持つプロであることを間接的に証明できる。また、作家や歴史家やジャーナリストなどの肩書きを名乗る場合も、怪しげな
片手間で教える文章講座【番外】 月100万pvブログを楽勝で作れる? 『みんなのユニバーサル文章術』発売中
さて、というわけで星海社新書から『みんなのユニバーサル文章術 今すぐ役に立つ「最強」の日本語ライティングの世界』が好評発売中である。自分の単著では、たぶん15〜16冊目くらいだと思う(よく覚えていない)。
おそらくはじめて、中国とまったく関係ない内容の本を書いたが、Amazonの動きは勢いがあるし書店でもズラッと並べられている。大変ありがたい。
ちなみに内容は、このnote「片手間で教える文章
片手間で教える文章講座9 読書感想文のコツ
先日、あるいきさつから小学生6年生のA君の読書感想文の書きかたを教える機会があった。
読書感想文はおそらく、長年にわたり全国の小中学生を苦しめ続けている課題の筆頭格だ。今回の記事では、私が教えた簡単な書き方の技術をお伝えしてみよう。
なお、課題図書はまったく読んでいないA君が選んだ本は、あさのあつこ著『バッテリー』(角川つばさ文庫)だった。第1作の刊行は1996年。現在39歳(1994年小学校
片手間で教える文章講座8 ネット中傷のコツ
2020年5月のテラスハウス出演者の自死事件からこのかた、世間ではネット中傷問題についての話題が盛り上がっている。この件については、私も一家言があるので語らせていただこう。
石は全方位から飛んでくるというのも、私は成り上がり者であるうえ、記事やSNSで好き勝手に物を言うこと、そのわりに出版物の点数や社会的評価に比較的恵まれていることから、他者の恨みや嫉妬を薄く広く向けられやすいのだ。『5ちゃんね
片手間で教える文章講座7 インタビューのコツ(後編)
ちょっと時間が空いてしまったが、前回に引き続き、インタビューのコツを思いつくままに書いていこう。
わからない話のパターンインタビューの際に、相手側の話が自分にはよく理解できないケースは少なくない。その原因はおおむね、下記の3つに分けられる。
片手間で教える文章講座6 インタビューのコツ(前編)
先に書いておくと、私はもともとインタビューが不得意だった。
そもそも、私は過去にライター学校に通ったりマスメディアに就職したりした経験がないので、取材のノウハウについて体系的なトレーニングを受けたことがない。完全な駆け出し時代だった2006〜2009年ごろはもちろん、著書を何冊か出して雑誌媒体での執筆経験も多少はあった『和僑』を出版したころ(2012年末)ですら、取材にあまり自信を持っていなかっ
片手間で教える文章講座5 バズるWeb記事を書く技術
私は紙媒体での執筆が多い。書籍は10冊以上書いたし、主要週刊誌は女性誌を除いてほぼ全紙で執筆経験がある。月刊誌も『文藝春秋』だの『中央公論』だのの大手どころはたいがい書いた。
だが、私はもともとブロガー出身なので、実はWebの記事を書くほうが得意だ。売れる書籍を書く方法はいまだによくわかっていない気がするが、読まれるWeb記事を書くことは自分のなかに一定の方法論がある。
普段、寄稿が多い複数の
片手間で教える文章講座4 読み飛ばされない「ユニバーサル日本語」表現術
私は安田峰俊。プロのルポライターをやっている者だ。これまでに引き続き、2020年現在の日本語ネイティヴにとって最も読みやすく、文意が容易に伝わる書き言葉「ユニバーサル日本語」の文章術を書いていく。
前回記事までは、わかりやすい1文の書き方や段落の作り方、表記の方法といった、ごく基礎的なルールを確認した。今回はもうすこし踏み込んで、段落レベルの文章を書くときの構成のコツについて考えてみたい。
以
片手間で教える文章講座3 「ユニバーサル日本語」の校正法と表記のコツ
「バズるWeb記事の作り方」という記事を書きかけたが、思った以上に人間感情の闇に踏み込んだ(要するにゲスい)内容になったので中断する。「片手間で教える文章講座」は、せめて最初の3本くらいは、毒がなく普通にタメになる話を載せておきたい。
なので、今回は従来の記事では説明しきれなかった「ユニバーサル日本語」の校正法と表記のコツを説明する。なお「ユニバーサル日本語」とは、2020年現在の日本語ネイティ
片手間で教える文章講座2 「ユニバーサル日本語」の構成(紙とWebの違い)
第1回の記事の公開後、周囲から「お金取ったほうがよくない?」とすくなからず言われたが、引き続き無料で書く。なぜなら自分の経験上、この手の記事は無料で公開すると細く長く読まれるわりに、いざ有料にすると10〜20人ほどしか買う人がいない。売り上げで言えば1万円以下だ。
しかし、私の原稿はそんなに安くない。ごく少数のクローズドな購買者に向けた記事を書いて小学5年生のお年玉ぐらいの売上金を得るより、広く
【もっとさいはての中国】広東省農村のマッドマックス
械闘とは、明清時代以降(14世紀〜)の中国において発生した、集団同士が武器を持って殴り合う私闘を指す。「械」とは、「道具」もしくは転じて「武器」を意味する漢字だ。どうやら、もともとは「持械而闘」(武器を持って戦う)と言っていたのが、省略されて「械闘」になったらしい。
場合によってはヤクザや秘密結社・政治勢力などの抗争についても、この単語が用いられることがある。たとえば2019年6月から起きた香港
片手間で教える文章講座1 「ユニバーサル日本語」の書き方
私は安田峰俊。プロのルポライターをやっている者だ。この年末年始、20代の後輩ライターに原稿の書き方を教える機会があったり、別の場でかなりヤベえ水準の新人の原稿を読まされる機会があったりしたので、思ったのである。ちょっと文章術を世間に伝えてみようと。
第1回記事で書いた通り、私は大学院修了後に就職に失敗してから、1文字1円以下のウェブライター→コンビニ売りの怪しい500円ムックの執筆者→裏モノ・実
私がライターになるまでの14年間
私は安田峰俊。2020年でメジャーデビュー10年目(キャリア自体は14年目)を迎える、主に中国関連分野を得意とするプロのルポライターである。
思うところあってnoteをはじめてみることにしたが、まずはサイトの使い方に慣れておきたい。そこで今回はテストがわりに、2016年末に当時の自分のブログに投稿した昔話に加筆・修正した原稿を載せておこう。当該のブログはすでにクローズしたが、愛着のある記事なので