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社会人になってからできた新しい習慣がある。深夜に意味もなくコンビニへ向かうことだ。
今住んでいる街は、地元と比べて人口も娯楽も少ないが、何も無いというわけでもない、俗に言う「中途半端な田舎」だ。地元で見るよりも大きな月と、やたらと明るく光る星に照らされながら、今や生活必需品となった中古の軽自動車と共に、すぐ近くの行きつけのコンビニに向かう。ただ、今日はいつもの静けさは無かった。
着くと同時に目に入るのは、二組の夫婦が殴り合いをしている現場だった。両方、ベビーカーに赤子を連れており、父親が直接殴り合う横で、母親がベビーカーを盾に威嚇をしていた。
そういえば、今日はあるゲームカードの販売日だ、とSNSで見た。そのカードは転売目的で購入する者が多く、多くの人が目の前で起こる異常な光景が見えてないかのように、白々しい顔でコンビニの入口に並び続けている。
いつから、こんな世の中になってしまったのだろう。光に集まる虫のようにコンビニに留まる彼らを背景に、一人帰路に向かった。
初めての一次創作です。
これから、このように月1ペースで投稿します。よろしくお願いいたします。