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わたしの夏の訪れ


夏だ、と思った

セミはミンミン鳴いているし
コンクリートから夏の日差しは跳ね返ってくるし
ひまわりが咲き始めているし
寝るときには扇風機を回し始めていたのに
まだ夏だと思わないでいた

わたしは夏が大好きだ。
夏生まれというのもあるけれど
暑くて暑くてだるいこの季節は
夏の暑さが悩みなんてすべて吹き飛ばしてくれる

夏はじれったければじれったいほどいいと思う
夏は祭りに行くべきだし
海に行くべきだし
夏の暑さを理由に籠り、扇風機に向かって
アーと声をかけている時の自分さえも好きだ。

そんな自分が
あ、夏だと思った

それはかき氷を片手に
高校野球を応援していた瞬間だった

高校野球は負けたら終わりという刹那的な雰囲気が漂っていて、高校全体で野球部を応援する一体感と、それを観る大人たちもその恩恵に浸っているのが好き。大好きな夏の一瞬が過ぎ去っていく感覚に似ている。

野球部の人たちを見ると、一生懸命一つの物事に向かって努力することの煌めきを少しだけ感じることができる。自分ができなかったから。

高校生を「青くて羨ましい」と思ったその瞬間から、なんだかわたしは大人になってしまったんだなと思った。あれだけ憧れていた大人だけど、なってみるとすこし淋しい。いや、だいぶ淋しい。

今年もまた、彼らから元気をもらいに、のしのしと球場へ行くのだ。

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