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伊勢・志摩の旅②(ホンさんぽ#2)

 前回、鳥羽水族館と伊勢神宮外宮の訪問を終え、今回はいよいよ伊勢神宮の正宮および日本一並ばないテーマパークこと志摩スペイン村の訪問を目指す。

伊勢神宮・正宮へ

 朝の8時ごろにホテルを出て、コンビニでおにぎりを購入し、駅前のバス停へと向かう。朝イチに正宮へ到着することが目標だ。

 9時前には正宮へ到着。大体バスは20分程度の乗車だった。バスを降りたらよくみるあの木製大鳥居が見えた。

宇治橋。朝一でも人は多い

 宇治橋というらしい。そういえば駅も宇治山田駅だったし、このあたりは昔から宇治という地名がよく使われているらしい。近くに宇治神社もあった。京都の宇治と何か関係があるのだろうか。まぁ後で行ってみるとしよう。

 橋を渡るとしばらく長く広い砂利道が続く。ここだけで地元の一宮がすっぽり入ってしまいそうだ。道の脇にはさざれ石や「斎館」という建物があった。航空写真でみると分かるのだが、斎館はとても広い御殿のような建物で神官が身を清める場なのだそう。そういえば伊勢の斎宮とか古典で習ったなぁ…なんてことを思いだしながら5分強ほど歩くと綺麗な川が見えた。

五十鈴川の御手洗場にて

 エメラルド色というより翡翠色というべきかもしれない。反射も相まって宝石のような川は「五十鈴川」。この川を御手洗場として使っているらしい。流石日本の神社のトップ、手水からスケールが違う。見ているだけで心も洗われる。この自然を見れば古代人がここに社を建てようと思った気持ちも分かる気がする。

神宮の杜は神秘的な景色があちらこちらに

 御手洗場からは道が曲がって森へと入っていく。途中に見える一際豪華な建物は神楽殿。こちらに社務所も併設しているようだ。

金の装飾が目を引く神楽殿

 さらに奥に進むと階段が見える。もしやと思い登ると、これが内宮のようだ。かの天照皇大神を祀る日本の神社の最高峰。神楽殿のような瓦葺きではなく茅葺きかつシンプルな建物だが、それは幾度もの式年遷宮を用いて古代からの姿と工法を伝えてきた結果。古代の神殿の姿を見ることができていると思えばこれほど満足なことはない。

 周囲の森と木造の建物が調和し、大聖堂の列柱の間のような荘厳さを感じさせる。ちりちりと入る木漏れ日はステンドグラスといったところか。なんだか人間の感性は案外似たり寄ったりなのかもしれない。荘厳さには時と空間を越えた理論があるらしい。

伊勢神宮内宮付近にて

神宮まわりをぶらぶら

 内宮を後にして、宇治神社に向かう。「足神さん」とも呼ばれているらしい。朝から歩き疲れている私には嬉しい情報だ。

まぁ階段登りの試練があるんだけどね

 調べたところ、伊勢の宇治と京の宇治の繋がりはよく分からなかった。が、この宇治神社は面白い。いわば神と偉人のオールスター感謝祭。足の神に山の神、お稲荷さまにスサノオ、楠木正成、中臣鎌足、本居宣長…なんでもござれてある。ご利益では伊勢神宮に負けないほどありがたい神社のようだが、あまり人は居なかった…せっかくならば少し足を伸ばしておきたい。

 さて、足を門前町へと伸ばす。伊勢の門前は「おかげ横丁」として知られる。飲食店とお土産屋といった並びだが、ここでいくつか面白いお店があったので紹介したい。まずは腹が空いてきたとこなので、松阪牛を購入。

ちなみに、おかげ横丁の横にも五十鈴川が流れている

 さて、そのお店がこの「伊勢ひもの塾」。メジャーなものから変わり種まで、様々な海産干物を販売しているお店だ。店先にはエイやカジキなどの干物が展示されていてミニ水族館といった趣。
 ここでオススメしたいのが「鮫のたれ」である。なんでも鮫肉に味をつけて干したこの「鮫のたれ」は神宮の神膳として献上される代物とのこと。食べてみると淡白ながら食べ応えのある食感で、旨味の強いホッケといった感じである。価格も手軽であるため伊勢の土産として丁度いい。

伊勢ひもの塾

 おかげ横丁を抜けると大きな道路にぶつかる。そこから西に少し歩けば「猿田彦神社」が見えてくる。猿田彦は導き・交通安全の神様ということで、ある種のそぞろ神のようなものかもしれない。そういうこともあってか長距離ドライバー御用達のようでステッカーが境内至るところで目に入る。

ステッカーまみれの猿田彦神社手水舎

スペイン村へ

 猿田彦神社からバスに乗り五十鈴川駅を目指す。そこから鳥羽駅で特急に乗り換え約40分。志摩の中心鵜方に到着した。
 駅前はまぁまぁ地方観光地といった具合。ちょっとした商業施設が併設されていたが、事実上の居酒屋通りとなっていた。
 さて乗り継ぎで20分ほど待ってバスが来た。発車と同時に案内音声が流れる。そう。あのイントロである。頭のなかで「志摩スペイン村へは、近鉄で!」まで再生された。これがステルスマーケティング…
 昼の一時過ぎにスペイン村に到着。だが、ここで衝撃の事実を知る。2時からの入場で入園料が約半額だというのだ。1時間待つか、すぐ入るか…悩んでいる間に10分過ぎたのでもう待つことにした。

スペイン村へ入場

 というわけで一時間待ちの入園、一目散に目指したのはチュロスである。某YouTuberの影響でここに行くことを決めたわけだが、そのダントツの決めてはチュロスである。かねてより甘党かつチョコが好きな自分にとって、本場の「チョコラテ・コン・チュロス」スタイルのチュロスはもう文字通り喉から手が出るほどに食べたいものである。

チュロス。サクサクモチモチ

 というわけで早速注文。値段はまぁ遊園地価格であるが味は絶品。油っこくもパンっぽいパサパサ感もない。しっとりサクサクそしてほどよくビターなチョコ。これを、求めていた。

 スペイン村の魅力はここだけではない。スペイン語学徒でイベリア半島史が好きな自分にとっては名所の再現や博物館も魅力のひとつ。言う程志摩とスペインの繋がりは見えない(なんなら高知や長崎あたりがしっくり来る)が、ここの「ハビエル城」の展示はなかなか面白い。アルタミラ洞窟に始まり、カルタゴ・ローマ、アンダルスそして大航海時代とスペインの歴史を振り返ることができる。中でもザビエル関連の資料の充実度は目を見張る。レプリカだらけなのが少し残念ではあるがスペイン政府も協力したとだけあり、映像展示なども見応えがあった。

ハビエル城博物館。ザビエル生誕の地がモデル

 スペイン旅行となるとなかなか金がかかるし、観光地もマドリード・バルセロナ・バレンシア・アンダルシアにサンティアゴ・デ・コンポステーラと点在しているのでなかなか頭の痛い思いをするが、手軽に滞在気分を味わえるここはなかなかありがたい場所だ。願わくはもう少し利便性がよければ…だがそれは少し贅沢だろうか

マドリードのマヨール広場がモデルと思われる
こちらはアンダルシア。
🇬🇷もだが陽射しが強いと白壁になりがち

 忘れてはならないが、ここは遊園地である。それなりにアトラクションも充実しておりハウステンボスの感覚で来ていた私は驚いた(ハウステンボスはVRやお化け屋敷などの屋内施設がメインである)。
 せっかくなのでジェットコースターに乗ることとした。売り文句は「世界一並ばないジェットコースター」。待ち時間は5分もなかった。当初この事を「待ち時間に恐怖心が増幅しなくて済む」と思っていたがそれは間違いだったようだ。心構えができないまま乗車、絶叫、放心。たぶん待ち時間は猶予なんだろうと考え直した。心構えは大切だ

ジェットコースター、ピレネー

 17時過ぎに退園。バス待ち時間にヴォラーレが流れていた…それはイタリアではなかろうか…?バスに乗って鵜方へ戻る。またしても流れるBGM、こうしてまたファンが作られていくのだろう。

 18時から約3時間の乗車で大阪に帰還。一泊二日にしてはそれなりに堪能できたのではなかろうか。次に行くなら二見浦海岸とシーパラダイスに寄ろうか…はたまたイルカ島へ行こうか…すぐに旅の計画を練るのは悪癖かもしれない。とりあえず今回はここで


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