弥生の空に、諭吉の羽ばたく
卒業式の余韻に浸る間も無く、高校の入学準備が始まった。
週末は、制服や体操着の採寸会へ。
会場に着くなり、たまたま職場にも出入りしているスポーツ用品店の社長とバッタリ。
割と大きな声で名前を叫ばれた挙句、
「何で、ここにいるんですか?!」
……採寸に決まっとるがな。
隣で娘が、苦笑い。
さて、採寸である。
試着できるものは全て試し、サイズを確認。
制服は私の在校時より、少しだけ可愛くなっていた。
あくまで、ほんの少しだけ。
近隣校の中でも、ダントツで地味なことには変わりない。
娘は気に入ったようなので、まぁ良いんだけど。
そして時代の流れか、女子用のスラックスも用意されていた。但し、行事等での正装はスカートなので、スラックスのみ購入で済ますことはできないようである。
さて、どうするか。
本人、「お淑やか」という言葉とは縁遠い性格と行動パターンに加え、自転車通学の予定でもある。
やはり、スラックスも夏冬買うことにした——の、だが。
コートや体育着関係、靴類、コートにレインコート等も諸々含めたら、総額で諭吉が15枚くらい羽ばたいていくことになった。
マジか。
覚悟はしていたが、なかなかのお値段である。
物は悪く無さそうなので、妥当な価格なのだとは思うが。
娘はスラックスを欲しがったことを申し訳なく思ったようだが、私自身が自転車通学で、風でスカートが捲れ上がったり、冬場の、向こう脛を刺すような冷気が辛かった記憶があるので、気にしなくて良いと伝えた。
寧ろ購入したからには、着用者が少ない等の理由で箪笥の肥やしにしないで欲しいものだ。
良くも悪くも自分を貫くタイプの子なので、杞憂に終わるとは思うけど。
何はともあれ、娘は「制服もジャージのデザインも気に入った」——と言って、今から着用する日を思い描いてウキウキしている。
入学式も、晴れると良いね。