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ビール

静岡は伊豆稲取温泉、銀水荘というところにいる。ひとりである。予約したのは今日。相変わらずの衝動性だな。本当なら今頃静岡駅付近で部活の人々とごはん食べてたはずの時間なのにな。人生って何が起こるかわからない。

あるはずの大会が無くなり、無いはずの旅行が突然発生した。いくらフッ軽といえど当日に誘えるほどの友人もおらず、久しぶりの一人旅とあいなった。18きっぷ。なんだかんだで毎年使っている気がする。交通費が惜しい私にとっては神のような切符だ。そうだ静岡行こうということで急遽この地に来た。文句があるとすれば遠路はるばる岡崎から伊東まで2410円で来れたのに、伊東から伊豆稲取まで1210円かかったことくらいである。いや高いやろ。どう考えても。いっそ憧れの踊り子号に乗ってしまおうかとも思ったが、それは明日の課題ということで、ゆらゆらと普通列車に揺られてきた。

眼下に広がる海。これぞ私が求めていたものだなと思いながら、いそいそと6階へ向かう。「濤の音」というラウンジ。ひとことでいうと素晴らしい。余談だが、最初「とうのね」と読んでいた。明らかに「とう」っぽくないか?と思いながら、「なみのね」かーなんて思いながら向かうと一面の海!さらには飲み放題の静岡麦酒(生)きっとここが天国である。16時間前の自分ありがとう。きっと一生忘れない。といいつつ、忘れてきた光景がきっといくつも今まであったんだろうなと思いを馳せた今回の普通列車旅。でも、素直に来てよかったと思った。次は両親を連れてこよう。

自他共に認めるが私はお酒に強い。現に今も7杯目(たぶん)の静岡麦酒を飲み終えたところである。顔色は変わらないが、いつからだろうか記憶は無くすようになった。果たして強いと自称できるか怪しいところである。嫌いだった先輩が記憶なくても側から分からないと自慢していたのをあり得んだろと蔑んでいた私はもういない。若かったな。

話は戻るが18きっぷ旅、私にとっては苦ではない。いわゆる乗り鉄というものかもしれない。女が男っぽい趣味を持っているとそれは男の影響だという言説があるが、私も支持する。7年ほど好きだった男が電車が好きだったらしい。らしいというのも私のサーチ力で好きなんだろうなと思っただけで確証はない。兎にも角にも乙女な私は彼との接点が欲しくて電車に乗り始めた。四国一周もしたし、東北一周もした。あの恋で彼は手に入らなかったけれど、確かに電車への愛は私に残っている。ありがとう青春。


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