カラオケ大会に飛び入り参加した話
中国で第二次世界大戦の映画を韓国の友だちと観る、そんなちょっと緊張する時間を終えて、何か思い切ったことがしたかったのかもしれない。
この文章は、わたしが10年前の2009年3月から一年間、中国に留学していた頃の回顧エッセイです。毎週更新でしたが最近は隔週火曜19時に更新しています。のんびりとお付き合いください。
中国の映画やテレビは字幕がついているのが一般的。だから漢字を見慣れている日本人には中国で映画を観るのはそんなに難しいことではなかった。一方韓国の友だちは実際に理解できたのは3割くらいかな、と言っていた。
とはいえ母国語以外で映画鑑賞3時間、結構体力を使う。内容も内容だけにちょっとどんよりした空気が立ち込めていた。
南京の話だったし、見た後皆日本人のこと嫌いになったりしないだろうか。
そんな中、映画館の入っているショッピングモールの広場ではカラオケ大会が開催されていた。飛び入り参加もOKだという。
友だちが参加したい!というから、勢いで参加することにした。
ところで中国語の歌うたえるの??
・・・歌えないらしい。
日本語の曲はカラオケに入れられるの?
・・・入れられないらしい。
こんな広いところで、一体どうするのよ。
司会者の人が何か言っているのだけど、いまいち理解していない二人。
たまたま知っていた『月光』という曲をかけてもらって、むりやり日本語で歌うことにした。
ちなみにこちらの曲。皆さんご存知だと思う!
『月光』は『亜麻色の髪の乙女』の中国語Ver.。王心凌(ワンシンリン)という台湾の歌手がカバーしている。これを流してもらって、無理やり日本語で押し通す作戦!
友だち、実際は『亜麻色の髪の乙女』の歌詞もあんまり記憶にないようだった。何をもってカラオケに出ようとしたのか。完全に勢いである。
合唱部だった経験を生かして、必死にリードするわたし・・・
そう、わたしは歌の経験があるのだ!(しかし残念ながらその才能に恵まれてはいなかったと、後日改めて知ることになる)
出番終了。
本番終了直後に知ったのだが実はこのカラオケ、恋人を募集する人たちが歌で自分をアピールする大会だったらしい。
すると、なんと友だちの元には一人の男の子が恋人候補としてやってきていた。司会者も大喜びして友だちとその男の子はスタッフに囲まれて取材されていた。しかも編集されて後日テレビに映るかもとのこと!
ちなみにわたしの元には一人も来なかった。
別に恋人募集していないが、大会に出たかった訳でもないが、取材されたかったわけでもテレビに映りたかった訳でもないのだが、なんとも言えない複雑な気持ちになったのだった。
まあ日本人でも関係なく好かれているようだし、まあいっか。
なんとか生きていけます。