#1 選択

「出て行くね」そう告げられたのは2018年の秋頃だった
夫婦喧嘩をするでもなく側から見れば円満そうに映る家族のはずだったが仕事最優先の人生が招いた結果である
彼女の言葉の真意を汲み取ることなく「わかった」と応え
20年という節目に別々の人生を歩むことを選んだ

人生は選択の連続だと思う
最善の選択をしたはずが最悪の結果になるときもある
最悪の結果から最善だったのかと気付くときもある

日向坂46の楽曲で特にイントロがお気に入りの
「One choice」

　“神に選択肢与えられて 自分の人生を選べたなら 正しい道を選べるのか”　

歌詞の意とは異なるが冒頭が心に刺さる

どれが正しい道なんて誰にもわからないだろう
正しい道だったと思えるかどうかは自分次第だ

離婚、病気、失業と次から次と襲いかかる最悪の選択肢
人生の中で最も苦しくて生きることを諦めたくなるほど負の連鎖が続き自暴自棄になっていた
暗い部屋に閉じ籠りテレビだけが一日中流れていた
偶然ともいえる
この夜の選択肢は正しかった
再び立ち上がろうと思うキッカケになったのだから

「日向坂で会いましょう」が放送されていた
アイドルが大喜利をしている
秀逸な回答で笑いをとっている
久しぶりに笑ったような気がした

これが日向坂46というアイドルグループとの出会いだ
この時はまさか「推し活」をはじめることになるとは
微塵も考えていなかったが