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医療機関における滅菌業務とは?役割や仕事内容などをわかり易く解説します。

滅菌業務と聞いても

「具体的にどんな業務をするのかわからない」
「無資格でも働けるのか不安」
「滅菌ってなんだか難しそう」

と思う方も多いのではないでしょうか。

ここでは、滅菌業務に初めて携わる方やこれから働いてみようと思っている方に向けて、滅菌業務の概要や関連する資格について簡単にお話していきます。

この記事を読めば、滅菌業務の具体的なイメージを持つことができます。


1. 医療機関における滅菌業務とは

1-1. 滅菌室(中央材料室)の役割

  1-1-1. 中央材料室は医療器材を洗浄・滅菌する部署

外来診療や手術で使用された医療器材の中には、再使用可能な医療器材(RMD:reusable medical device)が多く存在します。使用済の器材は汚染されており、次の患者に使用しても問題のないように確実に再生処理する必要があります。

そのような医療器材を洗浄・滅菌し、再使用できるようにするのが滅菌室(中央材料室)の役割です。


  1-1-2. 滅菌業務なくして診療はできない

医療機関において、日々多くの外来診療や手術が実施されています。それらの診療に使用する安全な器材を供給するのが、中央材料室(滅菌業務)です。つまり、滅菌業務なくして、診療は実施できません。

滅菌業務は、医療機関が診療行為を実施するために必須で、重要な業務であると言えます。


  1-1-3. 最近では滅菌業務の外部委託も増えている

医療機関で働く医療者(看護師など)の負担軽減を目的として、滅菌業務を外部委託する医療機関が増えてきています。外部委託には、病院内の滅菌施設を使用する「院内委託型」や、院外に滅菌専用施設を設置し複数の病院を対象に滅菌サービスを提供する「院外委託型」などがあります。


  1-1-4. 滅菌受託業者の会社例

滅菌業務を代行する受託業者には、以下のような会社があります。

エア・ウォーター
鴻池メディカル
ダスキンヘルスケア
日本ステリ
リジョイスカンパニー
ワタキューセイモア


1-2. 滅菌の定義

  1-2-1. 微生物が生存している確率が100万分の1以下であれば滅菌されているとみなす

滅菌達成の基準については、多くの機関の協議を経て「滅菌した100万個の滅菌物の中で、菌が1つのみ確認できるレベル」と定義されました。つまり、微生物が生存する確率が100万分の1以下であれば、「滅菌できている」と言えます。

これを無菌性保証水準(SAL:sterility assurance level)と言い、SAL≦10⁻⁶と表現されます。


  1-2-2. 滅菌業務とは安全な器材を「製造」すること

滅菌業務の唯一の目的は、SAL≦10⁻⁶が達成された医療器材を、安定的かつ継続して供給し続ける事です。ある意味、滅菌業務は医療器材を「製造」していると言えます。

滅菌業務における製造が医療機器メーカーのそれと大きく異なるのは、滅菌業務は器材が血液や組織で汚染された状態から、製造が始まるという点です。


1-3. 滅菌業務のプロセス

 1-3-1. 滅菌業務には8つのプロセスがある

医療機関における滅菌業務は、大きく8つのプロセスがあります。使用、搬送、洗浄/消毒、検査・トレイ組み、包装、滅菌、保管、搬送です。

それぞれのプロセスで具体的に何を行うかは、2章で詳しくお伝えします。


 1-3-2. 滅菌業務の中心には品質保証という考えがある

SAL≦10⁻⁶を確実に達成するためには、8つのプロセス全てが重要です。どのプロセスにおけるミスや失敗も、器材の再汚染の原因となります。そのため、器材を確実に滅菌するために各プロセスで何をすべきかを検証(Validation)し、その検証されたプロセスを確実に実行することで品質(滅菌)を保証する必要があります。

滅菌業務の中心には、この品質保証(Quality Assurance)という考え方があります。品質マネジメントシステム(QMS:Quality Management System)とも言われます。QMSとは、手順やルールを定めて、製品やサービスを恒常的に供給する仕組みを指します。


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