【一覧画像あり】滅菌とは?さまざまな滅菌方法まとめ
滅菌する方法は、熱による滅菌法や毒ガスを使用する滅菌法など、様々な種類があります。
滅菌する物や各滅菌法の特性に合わせて、使い分けが必要です。
「滅菌したい物があるけど、どの方法が適しているか知りたい」
「資格取得の勉強のために、滅菌方法をまとめて知りたい」
この記事では、医療業界で使用される滅菌法をまとめて解説します。
前半では、医療機関で滅菌業務を担う中央材料室で使用される4つの滅菌方法を紹介します。
後半では、その他に医療業界で使用される滅菌方法を紹介します。
この記事を読めば、「滅菌」の定義や、各滅菌法の概要を理解することができます。
1. 滅菌とは
1-1. 滅菌とは「芽胞を含むすべての微生物を殺滅、または除去すること」
ウイルスや細菌といった微生物は熱や毒で死滅しますが、一部の細菌は芽胞と呼ばれるシェルターのようなものを形成し、生き残ることができます。
芽胞は非常に耐久性が高く、アルコールや100℃の熱にも耐えることが可能で、栄養が無くても生存できます。そして周りの環境がまた生育に適した状態になると発芽し、増殖していきます。増殖のスピードは細菌の種類によりますが、例えば大腸菌は20分で2倍に、1時間で8倍になります。
この芽胞までを含む、すべての微生物を殺滅・除去するのが「滅菌」です。
1-2. 具体的には「微生物が存在する可能性を100万分の1以下に減らす」
医療業界では、微生物が生存する可能性が限りなくゼロに近い状態を「安全な状態」と判断します。
この「生存する可能性が限りなくゼロに近い状態」は、具体的にどこまでゼロに近いのかというと、「確率が100万分の1以下である時」です。つまり、生育可能な微生物が生存している確率が100万分の1以下である状態を指し、この状態にすることを滅菌と言います。
この「生存確率が100万分の1以下」という基準は、無菌性保証水準(SAL)と呼ばれ、NASAやWHOの研究結果を基に作られました。国際規格のISOや、厚生労働省の定める日本薬局方が滅菌の定義として採用しています。
1-3. 滅菌・消毒・殺菌・除菌・除染・抗菌・制菌・静菌の違い
微生物を殺す・減らす意味の言葉はいくつもありますが、違いは次の通りです。
効果が最も強力で、国際的に通用する定義があるのが「滅菌」です。
「消毒」「殺菌」「除菌」「除染」「抗菌」「制菌」「静菌」は、対象となる微生物が限定的であったり、効果の程度が明確に定義されていなかったりと、有効性を保証した言葉ではありません。
1-3-1. 「滅菌」は微生物が存在する確率を100万分の1以下まで減らすこと
滅菌は、芽胞を含むすべての微生物を殺滅し、微生物が存在する確率を100万分の1以下まで減らすことです。そこに微生物が生存している可能性が極めて低い状態です。ISOや日本薬局方で定義されています。
1-3-2. 「消毒」は、微生物の数を減らしたり無害化すること
消毒は、全ての微生物を殺滅してはいないが、微生物の数を減らしたり無害化することです。日本薬局方で定義されています。消毒は微生物の数を減らすのに効果的ですが、どの程度減らすかは定義がありません。また、消毒薬は高水準・中水準・低水準の3分類がありますが、高水準消毒薬を用いても一部の芽胞菌は生き残ります。
1-3-3. 「殺菌」は、微生物を殺す行為のこと
殺菌は、微生物を殺す行為そのものを指します。殺菌した結果、死滅した微生物の数がほんの少しで、他に微生物が生存していても殺菌と言えます。
1-3-4. 「除菌」「除染」は、微生物の数を減らすこと
除菌は、微生物の数を減らすことです。洗剤・石けん公正取引協議会による定義があり、台所用洗剤と住宅用洗剤の除菌表示に関して、試験方法や表示の仕方のルールが定められています。
産業分野では空間の微生物の数を減らすことを、除染と言います。日本薬局方で定義されており、除染は空間や作業室を含む構造設備内に生存する微生物をあらかじめ指定された菌数レベルにまで減少させること、とされています。
1-3-5. 「抗菌」「制菌」「静菌」は、微生物の増殖を抑えること
抗菌・制菌・静菌は、微生物の増殖を抑えることです。JISによる定義があり、繊維製品(JIS L 1902)、非繊維製品(JIS Z 2801)において、それぞれ試験方法と抗菌性を認める基準が示されています。
_____________________
この続きは、SALWAYのWebサイトで公開中!