cancerX 幻の・・・食と栄養
え、なんで私?私でいいの?
お声がけいただいたのは嬉しいものの、乳がん患者の私にとっての食の問題って狭い経験でしかなく、私でいいのかな、と一回お断りしたのですが、「そのまんまでいいです。このセッションは、唯一ユルい感じでいていただいていいセッションなんです」と言われ、ではそれならば、とお受けしたのが昨年。しかしながら、がんに関わるcancerXさんで、私の狭義の知識ではあまりに申し訳なく、とにかく食に関するヒントを持っていそうな方にインタビューして回りました。いやあ、まさに付け焼き刃です。でも、そうして話を聞いているうちに自分のことや、肺がんで亡くなった母とのエピソードが思い出されてきたのでした。そんなあれこれをメモに用意をして、一応ノートを作って、しかもビビリな私は手元にノートを持参で参戦しました。
当日初めまして!の出演者たち
今回私以外の演者は、素晴らしき食の精鋭たち。まず、千葉先生は優しい小児科医。ぬいぐるみのくまちゃんみたいな方。次に加藤英二さん。加藤さんは、新横浜でHANZOYAというフランス料理店を経営している方。HANZOというのはおじいちゃんのお名前だそうで。で、なんで加藤さんが呼ばれたかっていうと、なんとこちらはフランス料理の嚥下食を開発&提供なさっている方なんです。そして、西村詠子さん。西村さんのご主人は、大腸がんの専門医でしたが胃がんで亡くなられたのです。そのご主人の意思を継いで金沢で「元ちゃんハウス」というがん患者が気軽に立ち寄れるスペースを運営しています。西村先生&詠子さんのことはずっと前から存じ上げていたのですが、実際お会いしてご挨拶するのは初めて。しかもセッションで。そして私の4人+モデレーターの糟谷さん曹さんの6人でお話ししました。
予定調和なしのガチンコ食トーク
会場は聖路加国際大学大村進・美枝子記念聖路加臨床学術センターという、築地駅から3分ぐらいの綺麗な建物でした。朝からみぞれ混じりの冷え込む中、朝から100人弱の方が来てくださっていました。ありがとうございました。コロナでこうしてリアルで集まるのは3年ぶりとか2年ぶりとかだったそうで、スタッフの皆様もなんだかワクワクしている様子でしたよ。オープニングに続いて最初のセッション、前列で国立がん研究センターの若尾さんが見ていてくれてなんだか安心しました。あとは目が悪くてどなたが来てくださったのかわかりませんでしたが、CNJ藤原さんだけは遠くにいてもわかりました笑。
さて、各自己紹介。私今時っぽく、自己紹介の原稿をスマホに入れてなんとなく見ながら話すっていうの、憧れてて(アホか)やってみました。なんとか無事成功。ほっ。としていたら、最初の質問が、なんでか私に振られ、(え、聞いてないよ!なんで?)一息つく間も無く、なんとなく、味覚障害の話,からの夫婦喧嘩話をいきなりぶちこんでしまいました。すみません!言った後で、この後どうなっていくんだろう、ヤバと思いましたが、モデレーターのお二人が機転を効かせながら、本筋に戻してくださいまして・・・お手数おかけしました。汗
心に残ったエピソード
いくつか、私の心に残っているお話を書き残しておきます。私の隣の加藤さんが、お食事の話をメガネに例えて話してくださっていまして。私がざっくりまとめますとね、こんな感じです。
皆さんはメガネを買う時、本当に大事なのはレンズなのにフレームのことをとっても気にしますよね。めちゃくちゃ選びますよね。一番大事なところはレンズでしょ。食事も、栄養大事、だけど、その周辺のこと、誰とどこでどういうお皿で、っていうそこも大事なんです。みたいな話、と理解したのですが、あってるかな。そうですよね、誰と食べるかとか、どこで食べるかとかで、味すら違ってきませんか。加藤さん曰く、同じ食べ物でも、素敵なランチョンマットを引いたり、素敵な器、ひょっとしたらライトとかも味を変えることができるかも。もちろん誰と食べる?も。私が何人かの人にリサーチした時も、いつも食べられないのに久しぶりにあった友人と食事に行ったらスルスル食べられてしまった食道がんの方のお話を聞いたことをお話ししました。そんな日ばかりではないですが、そんなふうに上手くいっちゃった日もありますよね。食というのはメンタルと密接に関係しており、理屈では説明できないことはまま起こるものなのです。
もう一つ、詠子さんのお話の中で、「患者さんは正論は聞きたくないんです。それは重々承知してるのです。」(ややきっぱり)。おっしゃる通りです!いやー惚れ惚れしました。
千葉先生からは、栄養素的にはタンパク質はとても大事、なぜなら抗がん剤と結合してがん細胞をやっつけるタンパク質が必要なんだそうで(これで合ってるのか不安ですが、そんなようなことをおっしゃっていました)、とにかくタンパク質が足りないと抗がん剤が十分な力を発揮できない、というようなお話を伺いました。それを聞いて、ふと思い出したのですが、私抗がん剤治療中、毎回鶏肉鍋ばかり作って食べていたの
です。自然と体が欲していたのかな。なんて勝手に心の中で自画自賛。
まとめ
とにかく、がんと食と栄養、という話に正解はないのですが、患者本人もケアギバーも、お悩みが多く、様々な理由から「食事の時間が楽しくない。苦痛である。」という方が多いのです。それを解決するような何か気づきが聞き手に届いたのか、果たして不明ですが、何か肩の力が抜けられたなら、それでいいのかなと思っております。
最後に一言ということで、私は「毎日100点は求めないこと、時には0点の日があってもよし。そして、食べられる食べられないにかかわらず、皆様の食事の時間が豊かな時間になりますように」とお伝えしました。豊かというのは、食べられることが豊かなのではなく、食べられなくても食べたくなくても、みんなで食卓を囲む時間が楽しかったら、それは素晴らしいことだよなー、という私の理想です。こんなモヤーっとしたまとめしか思いつかず、申し訳なかったのですが、これが私の脳みその限界。がん患者と言っても100人100通り。本当に思っていることを言えてる人なんてほんの僅かですよ、きっと。みんなお互いを思いやって、優しい嘘をつきながら、っていう、それがリアルな世界。でも、でも、私思うんですけど、食事の時間が来るのが憂鬱なんて、そんなの私には生きてて辛すぎる。食べれない=ダメ、痩せていく=ダメ、という考え自体から離れないと、自分自身を苦しめてしまうのかなと。食卓も寒い空気になっちゃうよねーきっと。
そうそう、食道がんのOさんから聞いた言葉、「食べれるものを食べる。いかに平穏に暮らせるか?を考える。」というお言葉も引用させていただきました。Oさん、そしてお仲間の皆様、ありがとうございました。他にも、私の突然の食に関する質問に答えてくださった皆様、刻み食のおせち料理の写真を提供してくださったALS中野さん、本当にありがとうございました。
といううことで、今回こうしてノートに書いてみました。というのも、こちらのセッション、アーカイブがありませんで、当日参加者だけの幻のセッションとなっておりますので、備忘録に書いた次第。自分も忘れてしまうし。
あ、もう一つ思い出しました。加藤さんのお店では、ご家族で例えばエビが苦手、という人がいるとしたら、加藤さんは全員のメニューからエビをなくしてみんなが食べられるものに差し替えるんだそうです。だって、1人だけ違ったら嫌でしょ。っていうか、みんなで食べたいじゃないですか?っておっしゃる。逆転の発想だな。みんなで美味しくいただくための心配りは、様々ですよね。食いしん坊の私には、加藤さんのお店のお料理めちゃくちゃ興味あるので、もちろん早速予約しましたよ!
いやー、食の話は奥が深かったです。
私の超ラフなまとめです。うる覚え満載のレポですが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!
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