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Protean Chess / Frankfurt Chess

チェス・プロブレムの創作競技会「The 21st Japanese Sake Tourney」の結果発表が行われました。
結果発表は下記リンクの「Unofficial Thematic Composing」から見ることができます。

この競技会は「Protean Chess」「Frankfurt Chess」という変則ルール(フェアリールール)が課題でした。
本稿では「Protean Chess」「Frankfurt Chess」を解説します。


定義

ルールは以下の通りです。

【 Protean Chess / Frankfurt Chess 】
駒取りがあったとき、取った方の駒は取られた駒の性能に変化する。
取った方の駒がキングの場合、王属性を維持しながら性能が変化する。

(補足)
取られた駒がポーンの場合、取った方の駒の性能変化はProteanとFrankfurtで異なる。
1) Proteanでは取った方の駒は相手ポーンの動きになる。つまり、後ろに下がるポーンに変化する。プロモーションはその方向の最終ランクに到達したら行われる。
2) Frankfurtでは取った方の駒は通常のポーンと同じ動きになる。つまり、白駒で黒ポーンを取った場合、白駒はポーンに変化して通常の白ポーンと同様に振る舞う。

基本ルール①

ポーンを取ったときが少しややこしいですが、まずは基本ルールの部分から図を用いて説明していきます。

今、d4の白ビショップでe5の黒ルークを取ろうとしています。

Orthodox

変則ルールではない通常の条件なら、当然白ビショップはビショップのままです。

Protean Chess / Frankfurt Chess

しかし、Protean ChessやFrankfurt Chessでは白ビショップが黒ルークを取ると、白ビショップがルークの性能に変化します。

基本ルール②

次はキングで駒取りをする場合です。

今、d4の白キングでe5の黒ルークを取ろうとしています。

Protean Chess / Frankfurt Chess
White Royal: Re5

黒ルークを取った白キングがルークの性能に変化するのは先程と同様です。
図の関係で白キングが消えたように錯覚するかもしれませんが、この白ルークは王属性を持っています。
この白ルークがチェックメイトされたら終了ということです。

ポーン取り(Frankfurt)

ポーンを取ったときが少しややこしいです。
基本ルールの延長で理解できるFrankfurt Chessから説明していきます。

Frankfurt Chess

今、d4の白ビショップでe5の黒ポーンを取ろうとしています。

Frankfurt Chess

黒ポーンを取ると、白ビショップはポーンの性能に変化します。

Frankfurt Chess

通常の白ポーンと同様に、前に動かしたり、斜め前の駒を取ったりすることができます。

ポーン取り(Protean)

Protean Chessでポーンが取られた場合にどうなるか説明します。
ここが少し混乱しやすい部分です。

Protean Chess

今、d4の白ビショップでe5の黒ポーンを取ろうとしています。

Protean Chess

黒ポーンを取ると、白ビショップはポーンの性能に変化します。
厄介なのがこの白ポーンの動きで、通常の白ポーンの動きとは異なります。
動き方は黒ポーンのままです。

Protean Chess

つまり、e5の白ポーンを動かすなら、後ろに下がったり、斜め後ろの駒を取ったりすることになります。
Protean Chessでは取られた駒の性能に”そのまま”変わるという理解です。

Protean Chess

通常の白ポーンと逆向きに進んで、端に到達したところでプロモーションします。


Protean ChessとFrankfurt Chessは如何だったでしょうか?
面白いと思ったら、是非「The 21st Japanese Sake Tourney」の結果発表を見てみてください。