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WFP2024年10月号 感想

バーチャル詰将棋作家の駒井めいです。
Web Fairy Paradise 2024年10月号(第196号)の感想を書いていきます。


1.王手を無視する詰将棋

(pp.3-4)

1.1 禁則により王手が無効化されるルール

図1は、王手判定時の仮想的な玉取り(※)よりも、二歩禁を優先する「利き二歩無効」の例。
(※ 仮想的に相手番を無視して続けて指したときに相手玉を取れるなら、その前の局面は王手をかけていると判断する。)
仮想的に玉を取るとき、二歩になるなら王手ではない、というルールです。
WFP作品展では、二歩禁よりも仮想的な玉取りを優先する「利き二歩有効」をデフォルトとしています。
仮想的に玉を取るとき、二歩になるかはどうでもいい、というルールです。

ところで、本将棋のルールでは、王手放置(自玉を王手にさらす)の反則よりも、仮想的な玉取りを優先しています。
例えば、本将棋ルールでは、下図の受方玉に王手がかかっています。

しかし、仮想的な玉取りよりも王手放置(自玉を王手にさらす)の反則を優先、つまり玉を取るときに王手放置の反則をしてはダメと設定すると、受方玉に王手がかかっていないことになります。

したがって、仮想的に玉を取るときに二歩禁が適用されない「利き二歩有効」は、自然な拡張と言えます。
仮想的な玉取りと行き所のない駒の優先度についても同様で、WFP第170号(pp.3-4)で議論されています。

話を戻します。
仮想的に玉を取るときに二歩禁を適用するのが「利き二歩無効」です。
通常の駒取り(玉以外を取る)と仮想的な玉取りの両方に二歩禁を適用するということです。
こう聞くと一見自然なルールに思えますが、前述の通り利き二歩無効をフェアリールールとみなす方が自然な解釈と言えます。

誌面で言及されている通り、王手判定時の仮想的な玉取りに禁則を適用するルールは他にもあります。
Koko、Isardam(タイプA)の他、K-Take&Make、Lortap、Patrolが代表的なところでしょうか。
これらは本将棋にはない独自の禁則を導入したものです。
仮想的な玉取りに禁則を適用すると何が面白いかというと、禁則を利用した特殊な受けが生じるなど、興味深い手筋が見られることです。
図1はまさにその好例と言えるでしょう。

1.2 王手放置が許容されるルール

図2および図3は、王手放置が特定の条件下で許容されるルールです。
複玉ルールもこの仲間でしょう。
複玉の場合は、王手放置が許容される以外にも、実際に玉を取ることが可能です。
玉取りは基本的に仮想手順にのみ存在する着手なので、実際に玉を取れるのはかなり特殊な設定と言えます。
複玉においては、玉取りを仮想手順と実手順の両方で表現できるので、その辺りを活かした狙いを考えてみるのは一つの方向性でしょう。

2.今月の手筋

(p.17, 88)

フェアリー手筋カード集:https://k7ro.sakura.ne.jp/wfp/FCard/CardList.html

「擬似王手無視」がテーマ。
本作に関しては、王手判定時の仮想的な玉取りに、Patrol由来の禁則が割り込んできて、王手が無効化されています。
「王手を放置したように見える」のがポイントです。

透明駒の作例として、例えば馬屋原剛作(出題:WFP第142号 第121回WFP作品展 121-10、結果発表:WFP第144号)があります(https://k7ro.sakura.ne.jp/jTMLView/TMLView.html?../wfp/wfp121-10.xml)。

擬似王手無視は、双玉の面白さを引き出せるテーマだと思います。

3.第164回WFP作品展結果

(pp.18-40)

WFP作品展鑑賞室:https://k7ro.sakura.ne.jp/wfp/EnjoyWFP.html

164-1 springs作

攻方をステイルメイトにするには、持駒の銀と盤面のDummyを消去すればよいです。
ただ、Dummyは非限定を消すために配置された駒なので、本質は攻方が持駒の銀17枚を消去する作品です。

受方駒に攻方銀を取らせればいいので簡単そうですが、禁欲ルールの存在が目的の達成を難しくしています。
攻方銀をとにかく打っていけば、受方玉が攻方銀を取らざるを得ない状況は容易に実現します。

しかし、攻方銀1枚vs受方玉では、銀の利き+成禁の関係で受方玉が取ってくれる状況が存在しません。
安直に銀を打っていくと、攻方銀が盤面に残ってしまいます。
したがって、19の地点にいる受方銀を呼び出して、受方玉の逃げ道をふさぐ必要があります。
これが本作の構造です。

同作者は、禁欲+ステイルメイトの組み合わせで、持駒を消去する作品を過去にも発表しています。
似た雰囲気のものとして、WFP第173号 第147回WFP作品展 147-9(結果発表:WFP第176号)があります(https://k7ro.sakura.ne.jp/jTMLView/TMLView.html?../wfp/wfp147-9.xml)。
WFP作品展147-9は持駒歩を1枚ずつ消去していく構成です。
今回の作品は打った銀が柱状に盤面に残るのが大きな特徴です。
渋滞した銀が一掃されていく様子は、とても気持ちがいいですね。

実現できるかは不明ですが、「裸玉から攻方が全駒を設置して煙詰の初形のような局面を作り、そこから設置した駒を消去していく手順」がもし創れたら面白そうだなぁと感じました。

164-2 springs作

受方をステイルメイトにする設定です。
厄介なのは多数配置されている受方Zero。
Zeroは現在位置に動く駒なので、本作の設定ではZeroがいる限り「受方は指す手がない」という状況にはなりません。
したがって、受方Zeroを攻方Queenで取っていく必要があります。

受方歩王を動けなくするには、歩王の前に受方駒を設置するか、歩王を八段目まで動かすかのどちらかです。
歩王は成れない設定なので、九段目に動こうとすると行き所のない駒の禁則に抵触してしまいます。
受方Zeroを取っていくなら、受方歩王は八段目まで動かすことになりそうです。

根は銀の利きを少し調整したフェアリー駒(変則駒)。
受方根は攻方Queenで取るか、攻方Queenでピンするかのどちらかです。
攻方の持駒が余らないように作られているとメタ読みするなら、根をピンすることになるでしょう。

攻方Queenで受方Zeroを取りながら、受方歩王に王手をかけていくこと自体は簡単ですが、最も厄介なのが受方59零です。
これを取るには、受方歩王が15の地点にいる瞬間しかチャンスがありません。
55手目51Qから破調気味になるのはそのためです。
それまでの趣向手順から脱線してダイナミックに動くこの手順も面白いですが、受方59零を取った後に元の趣向に戻るのも興味深い構成です。

話はだいぶ脱線しますが、不滅Zero(取れないZero)が盤面に残った状態でステイルメイトは可能でしょうか?
取れないのでZeroが現在位置に動けないようにするわけですが、どういう仕組みにすれば実現できるでしょうか。
すぐに思い付くのは駒全マネ禁の使用でしょう。
さすがに安直なので、もっと意外性のある仕組みを考えてみたいところです。

164-3 さんじろう作

攻方王を詰ますわけですが、初形で盤面にある受方駒は玉のみ。
受方に駒を打たせないと、攻方王に王手すらかかりません。
解1(受方飛で詰ます手順)は攻方歩と受方飛がすれ違うような手順で、これがとてもカッコイイです。

解1が絶品なだけに、解2(受方角で詰ます手順)は紛れにした方が全体としてのまとまりが良かったように思います。
作者コメントでも言及されているので、作者も悩んだところなのでしょう。
複数解で表現する以上、各解は等価な関係にあった方が良いと私は思います。
逆に、等価ではない複数解で、面白い表現は何かないでしょうか。

164-4 たくぼん作

攻方Grasshopperと受方歩orと金を使って、受方Grasshopper王を詰ますのは無理そうです。
攻方は歩を入手して、その歩で(あるいは成ってと金で)詰ます展開が有力です。

手順は非常に難解ですが、69手目34Gと活躍してきたGrasshopperを捨てるのがとても気持ちいいです。
この手があるおかげで、その前の68手に渡るGrasshopperのやり取りが、一気に面白味を増しています。

164-5 占魚亭作

攻方駒は盤面の王と持駒の歩。
基本的には、攻方は歩あるいはと金で、受方玉を詰ますことを考えます。
点鏡ルールがあるので、受方が駒を打って利きを変える受けを防ぐ必要があります。
また、All-in-Shogiルールもあるので、受方が攻方の王手駒を動かす受けも防がなければなりません。

12の地点に攻方歩あるいはと金を設置して詰まします。
攻方12とで詰ます場合は、98の地点に受方角・桂を打つ受けを消すのと、受方が13vとと引かせる受けを消す必要があります。

攻方12歩で詰ます場合は、やはり98の地点に受方角・桂を打つ受けを消すのと、受方が21玉と逃げる受けを消す必要があります。

98の地点には解1(攻方12とで詰ます手順)では成桂、解2(攻方12歩で詰ます手順)では成香を埋めます。
小駒の成駒で統一して対照性を表現しているのがいいですね。
All-in-Shogiの逆流禁を利用してところも共通していますが、詰める駒と詰められる駒のどちらに逆流禁を適用させるかの違いが、面白い対照性です。

また、「歩打の手順」と「98の地点に小駒の成駒を設置する手順」は双方の解で順番が逆になっています。
このちょっとした非対照性も、いいスパイスになっていると思います。

164-7 若林作

Root-50-Leaperという珍しいフェアリー駒(変則駒)が使われています。
9×9という盤の大きさに対して大きな移動しかできません。
したがって、行き所のない駒になる領域は盤の中央になります。
香・歩が敵陣一段目、桂が敵陣一~二段目が行き所のない駒になることを考えると、かなり特殊な駒と言えます。

本作は攻方をステイルメイトにする設定です。
Root-50-Leaperを受方玉に取らせればすぐに目的を達成できそうですが、PWCが厄介な存在です。
PWCがあるため、取られた駒は基本的に盤に残ります。
Root-50-Leaperを受方玉に取らせて、Root-50-Leaperを行き所のない駒になる領域まで運ばせる必要があります。

作品の構造は実に明快で、とても好感を持てます。

164-8 神無太郎作

最終手で受方玉は飛に、攻方王は桂に利きが変わります。
怒涛の幕切れですね。
キルケと点鏡の相性はとてもいいことが分かる作品です。
キルケは最大で二枚動かせるルールなので、点鏡の効果をもろに受けられるわけです。

164-9 上田吉一作

16の地点にいる受方桂を86の地点まで運べば、攻方王が詰みます。
PWCの効果で、中立飛と受方桂が相互に取り合えば、受方桂を(攻方視点で)左へ動かせます。
結果として桂鋸が現れるのがとても美しいですね。

仕組みは驚くほど明快で、中立飛を使っているのがミソです。
受方桂の輸送を担っている飛車を双方が動かせるため、これだけの構想が58手に濃縮されています。

164-10 上田吉一作

受方24桂を28の地点まで動かして攻方王を詰まします。
そのために、受方97歩を成らせて、48の地点まで呼び出す必要があります。

飛・角による2種類の開王手がポイント。
攻方飛を動かす開王手で攻方飛を受方との隣に設置し、攻方角を動かす開王手で受方とを呼び出せます。
この過程で受方に飛合をしてもらえば手が繋がります。
1つのユニットから2種類の開王手を使い分ける構成は、統一感があります。

164-11 尾形充作

なんと言っても2手目の中合が興味深い作品。
2手目15玉なら34飛成  15玉 24龍迄。
3手目34飛成のときに攻方龍の利きを変化させるために、35の地点に中合をします。
安南由来の意味付けで合駒位置が決まるわけです。

それなら初手でいきなり24角と捨ててもよさそうですが、2手目24同玉は戦力不足で詰みません。
受方に何かしらの合駒をさせるために離して打つわけです。

利きを変化させるための中合は、色々と発展性がありそうです。
記憶に新しいのはspringsさんの安北詰(詰将棋メーカー 2024年9月11日)で、中合は紛れに現れます。

他の性能変化ルールだと、中合をどのように表現できるでしょうか。

164-12 さつき作

衝立で焦点捨てをすると、捨駒が取られた情報というしか得られず、何の駒で取られたのかは基本的に分かりません。
特に玉と守備駒の焦点に捨てると、本作の紛れ(3手目84銀~5手目94歩)で見られるように、捨駒の利き(本作の場合は歩)によっては王手義務を満たせない状況が起こり得ます。

作意では7手目に94歩と打つわけですが、6手目が84同玉と指されている場合に王手義務を満たしていないように見えます。
しかし、6手目が84同玉なら必ず着手不成立で指し直しになるわけです。
3手目に94歩と捨駒をして、94の地点を埋めたのはこのためです。

要は、着手不成立を利用して、王手義務違反になるのを回避したわけです。
衝立らしい意味付けの捨駒です。

4.Fairy of the Forest #79 結果発表

(pp.41-46)

79-01 北村太路作

受方玉が11から99の地点に大移動する作品。
協力詰なのにこんな回りくどいことをする理由は、攻方の戦力が不足しているからです。
攻方が駒を入手できるように、受方が協力して玉を大移動させます。
初形で攻方14歩・23歩があって協力詰ならなんとかなりそうに見えるだけに、受方玉が大移動するのは意外性があります。

79-02 北村太路作

今度は受方玉が99から11の地点に大移動します。
こちらも理屈は同じ。
初形で攻方87馬がいますが、この馬はどうやっても捨てることになります。
分かってはいても、初手にやりにくさがあります。
その後は小駒で詰ます展開になるのも、面白い構成だと思います。

79-03 三角淳作

初手32馬~4手目98玉で、初形から攻方99角が消去されます。
大駒を消去するのは、詰ます上では損に見えます。
角は手順に成れるわけではなく、前に利きもないので、意外にもこの状況では役に立たないのです。
99の地点を空にしたのは、攻方が歩を打つため。
歩を突いて詰まします。
角から歩に打ち替えるのは、一見すると弱体化しているようで面白いです。

79-04 神無七郎作

96の地点を空にして、受方96玉・攻方87飛・攻方97香の詰み形を目指します。
当然「①初形の受方96香を剥がす」必要があり、そのために「②受方86歩も剥がす」必要が出てきます。
この受方歩を剥がすためには、「③受方86歩を87の地点に一旦呼び出す」必要も出てきます。
狭い領域で飛と香を交換しながら、課題を一つずつクリアしていく様子は、まさに長編趣向作らしい回りくどさがあります。

79-05 たくぼん作

4手目66同玉と28手目66同玉の局面を比較すると、攻方の持駒に歩が二枚加わっています。
最後に歩を支え駒にして、馬を作って詰ましたいわけです。
そのためには、守備駒のと金を剥がす必要もあります。

面白いのが攻方39歩・49歩の設置で、何回も設置し直しています。
と金を呼び出して剥がすために、この面白い繰り返しが現れるわけです。

角と香の交換がポイントで、狭い領域でうまく手を繋げていきます。
序盤でも出てきた93角が最後に再登場する展開も、気持ちのいいフィニッシュです。

5.上田吉一氏個展1 結果発表

(pp.58-63)

第1番

手順の狙いはシンプルで、初形の受方12金を83の地点まで呼び出します。
飛車を遠打して呼び出すわけですが、そのためにまずは初形の攻方73飛を回収して持駒化する必要があります(1手目83銀~16手目92同玉)。

飛車を持駒化した後は19手目11飛と遠打しますが、受方が単に同金と取ってしまうと、受方金の呼び出しを続けられません。
受方が20手目81香と香合して、後に香と飛を交換できるようにします。

ただ、この香合を攻方が同飛と取るわけにはいかないので、攻方銀を活用して取りに行きます。
25手目72銀と開王手をして、再度攻方飛で王手をかければ、26手目11金と1マス呼び出すことに成功します。
この手順を繰り返すのが本作の手順構成です。

面白いのが攻方銀の軌跡が三角形になっているところです。
手順を繰り返すための重要な機構で、そこが規則的に美しく表現されているのはとてもいいですね。

第2番

こちらも手順の狙いはシンプルで、二枚の受方銀を呼び出します。
ただ、その仕組みは実に緻密で複雑です。

すぐに攻方が86角と打って同銀と進めても、呼び出しが単発で終わってしまいます。
攻方は香を入手して、角を再入手できるようにする必要があります。
しかし、攻方が香で王手して角を再入手するには縦のラインが必要なので、受方玉を11の地点まで動かす必要があります。
そして、受方銀を呼び出すには受方玉が31の地点にいてほしいので、受方玉は11と31の地点を行き来することになります。

問題は受方玉をどうやって11と31の地点を行き来させるかです。
受方玉が11の地点にいるときは、攻方が13香と打って角合をさせれば角を入手できます。
手順に攻方が12同香生~22香と香2枚を設置すれば、受方玉を11から31の地点に動かせます。
受方玉を31から11の地点に動かすときは、攻方が21香成~11香成と成捨てていけばいいです。

さて、必要な香は枚数でしょうか。
受方玉を31の地点に動かして受方銀を呼び出すときに、攻方12香・22香と設置するのに加えて、攻方の持駒に香が1枚残っている必要があります。
合計で3枚の香が必要です。

3枚の香を入手するときにもう一つ問題が起きます。
受方11玉対して攻方が44角と打ち、受方に香合をさせて入手します。
ただ、受方11玉と攻方44角の間は、2マス(22と33の地点)しか空いていません。
したがって、一度に入手できる香の枚数は最大2枚です。
44角から二連続香合の手順を2回繰り返さないと、攻方の持駒に香が3枚溜まらないのです。

楽しい手順と深みのある構造。
まさに作者の技術力・表現力が光った作品ではないでしょうか。

6.協力詰・協力自玉詰 解付き #28

(pp.64-67)

フェアリー雑談

創作課題を出しています。

【創作課題】
盤面の飛・角・歩を不成で動かし、その駒は後の手順で動くことなく相手駒に取られる。このような手順を含む協力詰あるいは協力自玉詰を作れ。

チェス・プロブレムの「Schnoebelen theme」から着想を得た創作課題です。

29-2 上谷直希作

駒打の展開から一転して、最後は合駒を動かしてフィニッシュ。
双裸玉の初形を活かした内容になっているのがいいですね。

7.第24回フェアリー入門解答

(pp.72-88)

フェアリーの風音-鑑賞室:https://tsume-springs.com/?page_id=104

今回の課題は「安北」でした。
安南が人気なので少し影は薄いですが、安北も面白いルールです。

① springs作

安北の有無をツイン設定にした作品。
ルールの性質上、手順の関係性がアンバランスになりそうですが、巧くまとまっています。

細かい指摘にはなりますが、解説では「捨駒とトドメの駒が入れ替わる手順構成をZilahi(ジラヒ)と呼びます」と書かれています。
Zilahiは正確には「取られる駒とトドメの駒(詰める駒)が入れ替わる手順構成」のことです。

捨駒である必要はないので、Zilahiが示す範囲はもっと広いです。

④ 神在月生作

飛・角を限定打するわけですが、面白いのが打ち場所が決まる仕組み。
後に縦に並べる関係上、飛・角を同じ筋に打つ必要があります。
つまり、飛・角は相互に打ち場所を決め合っているわけです。
「グループ限定打」とでも呼ぶべきでしょうか。
過去にもこのタイプの限定打は発表されているはずで、研究してみると面白いかもしれません。

⑩ さんじろう作

玉の利きを変化させるための取らず手筋(玉の退路を封鎖する意味付けも交じってはいますが)。
他のフェアリールールだと、どのような取らず手筋ができるでしょうか?

⑫ 神無七郎作

初形で攻方34飛が24の地点にいれば、作意に合流して28桂から詰みます。
攻方24飛を設置するためには、受方玉を2筋に呼び出す必要があり、初形の攻方35角を消去しなければなりません。
35の地点に再度攻方角を設置するために、ひらすら邪魔な攻方銀を消去していく構成です。
角を消去して角に戻ってくる展開は、とても味がいいです。