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カカオ豆の香味の個性を、最大限引き出す「焙炒」とは?──meiji THE Chocolateの香味の秘密 #9

産地ごとに異なるカカオ豆の香味を引き出す工程の一つが「ロースト」です。チョコレートを作る上で重要な役割を果たすこの工程を「焙炒」と呼びます。「焙炒」が果たしている役割と、「焙炒」に注ぐ明治のこだわりを紐解きます。

「焙炒」でカカオ豆にどんな変化が起こる? 

おいしいチョコレートの原料であるカカオ豆。しかしカカオ豆自体をそのまま口に含んでも、苦味や渋味が非常に強く、チョコレートらしい香りはほとんどありません。「焙炒」という工程を経ることで、カカオ豆はチョコレートの香味に変わっていきます。

焙炒の役割は、パンを焼くトーストをイメージするとわかりやすいでしょう。食パンに熱を加えると、表面の色が茶色に変化します。しかしこれは焦げているわけではなく、メイラード反応(発酵によってタンパク質から分解されたアミノ酸と糖が、加熱により結びついて起こる反応)が起きた証拠。この化学反応によって、トースト特有の風味と色が得られるのです。

化学反応によってカカオ豆の風味を際立たせるローストには、2つの代表的な製法があります。一つは、豆のままローストする「豆ロースト法」。豆の外部と内部とでは微妙に温度差があるため、「外部は深煎り、内部は浅煎り」という香味のグラデーションを実現できる製法です。焙炒中もカカオが本来持つ香りが逃げにくいため複雑な香味を演出できるのが特徴で、主に嗜好性が高いチョコレートを作る際に使用されています。

もう一つの製法は豆を小さく砕いた「カカオニブ」をローストする「ニブロースト法」。細かく砕いて大きさを均一化しているので、ローストの程度も均質になり、すっきりとした香味を引き出すことができます。温度を複雑に制御することで、目的とする香味を引き出すことが可能な点も特徴として挙げられます。

香味を逃さない新製法「リッチアロマ製法」

先ほど説明した「豆ロースト法」と「ニブロースト法」のほかに「リカーロースト法」というものもありますが、そのどれかが優れているということではありません。カカオ豆の種類と目指す味によって焙炒方法が使い分けられているのです。

ちなみに、一般的にチョコレート作りに多く用いられているロースト方法は「ニブロースト法」。カカオ豆からチョコレートを作るだけでなく、ココアバターやココアパウダーの生産にもよく使われています。

明治も複数の焙炒方法を使い分けてチョコレートを製造していますが、「meiji THE Chocolate」にはもう一段、新しい製法を導入しました。それが「リッチアロマ製法」です。

「カカオニブ」をすり潰してペースト状にしたものは「カカオマス」と呼ばれますが、この後、砂糖やミルクを加えてもう一度すり潰すのが一般的なチョコレートの作り方です。

しかし、二度すり潰してしまうとどうしても味と香りが飛びやすくなります。そこで明治はこの方法を見直し、カカオ豆や砂糖、ミルク(粉乳)などをすり潰す工程を一度だけにとどめる「リッチアロマ製法」を開発しました。他の原料にもカカオの香りを吸着させ、逃がしにくい点も特徴で、カカオ本来の香味を逃がさず、最大限に閉じ込めることができます。リッチアロマ製法により、食べたときのカカオ感やフルーティ感などが高まり、カカオ豆の特徴をより楽しめるようになったのです。

#7から3回にわたり、「発酵」と「焙炒」に関する明治のこだわりを紐解いてきましたが、いかがでしたか? カカオ豆の個性を最大限引き出すためのこだわりが詰まった、meiji THE Chocolate。4つの香味の違いを、じっくり味わって楽しんでみてください。

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