メイジ・カカオ・サポートが実現してきたこと──meiji THE Chocolateの香味の秘密 #2
「チョコレート生産の上流を知ろう」という決意から始まった、明治社員によるカカオ産地の現地調査。プロジェクトメンバーは、カカオ豆の生産現場をもっと詳しく知るために現地の農家との交流を始めましたが、そこで目にしたのは、農家の皆さんの困りごとでした。日本にいるだけではわからなかった、現場で起こっていること、困りごとを解決しながら一緒に品質の良いカカオをつくる取組み、それが「メイジ・カカオ・サポート」。一体、どんな取り組みなのでしょうか。
カカオ農家の「困りごと」を解決するために何をするべき?
おいしいチョコレートを作るためには、良質なカカオ豆が必要です。しかし明治社員がカカオ豆の原産国を訪れてみると、その安定供給を阻む問題が数多くあることがわかりました。
例えば、カカオ豆を作る工程の一つ、発酵方法が農家によってそのやり方も道具もバラバラということ。通常、カカオ豆の発酵には、「発酵箱」と呼ばれる専用の木箱を使いますが、中には木箱ではなくバケツを使っている農家もありました。カカオ豆の品質が安定しないことから、適正な価格で買取されない。その結果、農家さんの生活も安定しないという負のスパイラルがありました。
また、農機具不足、栽培技術のや栽培方法の知識不足、カカオの木の高齢化や病虫害などさまざまな原因により、カカオの生産性は決して高くありませんでした。中には、生産性の低さや苗木の入手が難しいなどの理由から、カカオ以外の作物に切り替える農家の方たちもいました。
カカオ産地での課題を目の当たりにし、明治のプロジェクトメンバーたちは、調査を開始した翌年の2006年、「メイジ・カカオ・サポート」の取り組みを始めました。
活動を通じてカカオ生産の環境が整い、品質の良いカカオ豆が生産されるようになれば、安定した収量・適正な価格にもつながる。それはカカオ豆生産農家の皆さんにとって、そして、明治にとってもメリットのあることでした。
支援以上のつながりを作った明治社員も
こうした取り組みを表面上のもので終わらせないために、プロジェクトメンバーはまず、現地の人たちと信頼関係を築くことから始めました。自分たちのカカオに対する熱い想いや、農家の皆さんと一緒に作っていきたいこと、そして、あなたたちの作ってくれたカカオ豆がこんなにおいしいチョコレートになるのだということを、現地に何度も足を運び、農家の方たちに伝え続けました。そして、特定のカカオ農家にだけではなく、そこで暮らすコミュニティ全体にも活動範囲を広げていきました。
学校への備品提供、病院への医療器具の提供、井戸の寄贈など、その地域で暮らす人たちが、安心して生活できるようになる活動も行いました。そうした活動は現地の人たちに認めてもらえるようになり、活動国の一つ、ガーナでは、明治社員が名誉酋長に任命されるまでになりました。
明治では現地を訪れる度に、明治のチョコレート製品を農家のみなさんにお渡しし、農家の方たちが作ったカカオ豆がこのような商品になっているということをフィードバックするようにしました。実際に製品を食べてもらうことで、明治製品を一緒に作っている仲間としての絆も深めてきました。
コロナ禍では現地訪問が難しく、直接の対話はできていませんが、何年もかけて信頼関係を築いてきたおかげで、関係が途絶えることなく、オンラインでも農家の皆さんとコミュニケーションを取ることができています。
持続可能なカカオ生産に向けて
ベネズエラとガーナから始まり、現在はアフリカ・中南米・アジアの9カ国に広がっているメイジ・カカオ・サポート。産地の実情に応じた活動は15年目を迎えました。
9カ国のうち、「meiji THE Chocolate」のラインナップにもなっている4カ国に関しては、2026年までの具体的な数値目標も設定しており、ベネズエラでは苗木24万本の寄贈、ブラジルでは肥料5万袋の寄贈、ペルーでは発酵箱60台の寄贈、ドミニカ共和国では資源ごみ分別回収箱99箱の寄贈を掲げています。これら以外にも、農機具や学校備品、医療備品などを産地の要望に沿う形で届ける活動をしています。
明治はボランティアとして現地を訪れるのではなく、持続可能なカカオ生産の実現を通じてカカオ農家との共存を目指し、双方が事業としてより良い成果を得られるように、努力を重ねてきました。そうすることで、現地との関係を一度のことで終わらせることなく、活動自体が持続可能になり、カカオの品質と、さらなる生産の持続可能性が高まるのです。
このような活動を経てようやく生まれてきたカカオ豆。そのカカオ豆を使って作られたのが、「meiji THE Chocolate」です。
次回は、「THE」と冠をつけたチョコレートの裏側に隠されたメッセージをひもときます。
この記事がおもしろかった! と思った方は是非いいね、フォローをお願いします!