2022/08/06; 「ロンリープラネット」
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1人の宇宙飛行士が、ある任務を受けた。その任務とは、宇宙での情報通信の可能性を探るため、地球外で電波を受信し返信するというものだ。彼には断る術はなかったし、断る理由もなかった。彼は家族と親しい友人に簡単に別れを告げ、ひっそりと地球を発って行った。
ゆっくりと宇宙を漂う間、初めてのメッセージを送る。「ハロー、サウンドオンリー。マイクチェック、マイクチェック。ワン、ツー」彼は自分の声のぎこちなさに驚いた。「ちょっとだけロンリー、すぐに帰るよ」
辿り着いた星で、彼は毎日決まった時間にメッセージを送る。かといって時間なんてものはないから、適当なのだが。メッセージの内容は自由だ。しかし一言二言しか書けない。彼は、梅干し食べたいとかお土産買ったよなんて暢気な言葉を電波に乗せた。どこかこのロンリネスを楽しんでいるようだった。そうさせたのは楽観か、はたまた生きて帰ることはできないと悟った末の諦観か。
彼のメッセージが届いた頃、地球は氷に覆われていた。氷河期だった。管理者がいなくなってからも動き続けた受信機が、待ってましたと言うようにアラームを鳴らす。「最後の通信。ダメかも知れない。じゃあ行くねバイバイ」
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