2020/04/09; 真っ白な世界

オーストラリアに着陸したら、真っ白な太平洋を歩こう。視界を遮るものは何もない。走り出せば、空だって飛べる気がする。

おっと、ジョンが何か見つけたようだ。君はジョンを追って走り出す。ようやくジョンに追いつくと、巨大なとげが地面から突き出していた。

「もしかして、東京タワー?」

君は笑っていた。不意打ち過ぎて、僕も一緒に笑った。

自由の女神の頭の上から噴火を眺めたり、壊れたピラミッドの破片を集めたりしていたら、暖かい西日があたりを茜色に染め始めた。
いつの間にか雪は溶け、僕らはゆっくりと水底に沈んでいった。君の安らかな笑顔を、僕は忘れない。

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