2021/06/26; 「麒麟の翼」を読みました

最近は「あたしンち」を見るのに忙しくて、なかなか本を読む時間がなかったのだけれど、母親から勧められた「麒麟の翼」(東野圭吾 著) を読んでみることにした。母親が言うには、東野圭吾の推理小説は大きく2つに分けられるらしい。1つは物理学者、湯川学を主人公にしたガリレオシリーズ。そしてもう1つは刑事、加賀恭一郎を主人公とした加賀シリーズである。今回僕が読んだ「麒麟の翼」は、後者、加賀シリーズの第9作目だ。これが非常に面白かった。

正直な話、僕はこれまで推理小説をほとんど読んでこなかった。事件の真相にあまり興味がないからだ。真相よりもむしろ、事件の後みんなどうするんだろう、と言うことが気になってしまう。賢い人が真相を暴いていく様子に、すごいなーとは思うけど、心震えたりしない。そして真相が解明されたところで物語は終わる。僕としては不完全燃焼だ。この後彼らがどう生きていったのか教えてくれ、と思ってしまう。

推理小説に明るくない僕だが、「麒麟の翼」は面白かった。例によって、推理の過程を賢いなーと思いながら読んでいたのだが、いざ真相 (犯行の動機や被害者の今際の際の気持ちなど。ここでは特に後者) が明らかになった時、真相のもつ力の強さを体感することとなった。真相を知る前後で、登場人物への見方が全く変わってしまった。それまで嫌なヤツだなと思っていたのに、突然好きになってしまうような、そんなものすごい力が、真相にはあった。あぁ、この「裏切り」が推理小説の醍醐味なんだ、とようやく僕は理解したのだ。

真相にあまり興味ないとは言え、真相を知らないと大切なことを見過ごしてしまうのは事実だ。真相に近づく努力を怠ってはいけない。

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