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#エッセイ

この世界には終止符のない恋があるんだ

この世界には終止符のない恋があるんだ

しあわせなとき。

肌を流れる風はふんわりと柔らかく、
身体中が心地よい暖かさに包まれて、
ぽうっ、と心に灯りがともる。

そんな瞬間は人生に何回訪れるんだろう。

人はそんな幸せな時間を忘れることができない。
苦しみや悲しみを忘れることはできるのに、
しあわせな思い出だけは消えないんだ。
消せないんだ。

時には、
大切ななにかを守ろうとして、
自分自身を壊してしまう。

大切なものがなにか

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焼魚の苦い所

焼魚の苦い所

甘い。
恋は甘い。

叶わない恋ほど甘い。

理想をぐんぐんと作り上げて、
素敵な人だと信じるから。
思い込むから。
それが本当だと思えてくるから。

好きな人とはずっと一緒にいたいし、
離れたくないし、
失恋してもう会えない、
なんてことにはなりたくない。

だから一歩踏み出さずに、
ぬくぬくと、ぬるぬると、
曖昧な関係を続けて、
なにかをはっきりさせてしまうのを恐れて、
沼にハマったように狂っ

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深い海の底で息をする

深い海の底で息をする

自分を鼓舞して、
自分を奮い立たせて、
自分を突き動かすのは、
他でもない自分なのに。

頑張ってる途中で
たまーにポキって折れちゃって、
自分がほんとうになんの役にも立たない
どうしようもない奴に思えてしまって、
なんのために生きてるのとか、
思ってしまったりする夜もある。

1番近くにいる人に、
理解してもらえないと悲しい。

たとえ産みの親だって、
親が世界のすべてだった幼少期を超えて、

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雪溶けのキラキラにさよならを

雪溶けのキラキラにさよならを

過去は2度と戻ってこないから。
だから愛おしく感じるんだ。

一度しかないもの。
だから特別に思ってしまう。

その瞬間を共有したあなたと、
そして私と。

ただその瞬間は
後にも先にも2人だけの時間。

暑苦しくて不器用で不完全で美しい。

想像を遥かに超えた
これがしあわせの塊なんだとおもった。

燃えた。
燃え上がった。

瞬きをする間に燃え広がったその炎が
わたしの瞳をオレンジ色に照らし

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わたしは今どこにいるの。

わたしは今どこにいるの。

古い幻想にしがみついて、
今いる場所を見つめないことは愚かだ。

でもやっぱり、
今いる場所を見つめることが一番難しい。

大きな変化ではなく、
小さな変化に気づくことが一番難しい。

自分が今いる環境だからこそ
客観的に見ることが難しい。

仮にそこがどんな場所でも、
自分にとっていい場所だと思うも、思わないも、
自分自身の考え方によって変わってくる。

過去にしがみつき、
幻想にとら

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スクランブル交差点の真ん中で

スクランブル交差点の真ん中で

都会のビル群を眺めるとき、
こんな風に思う。

(みんな頑張ってる。)って。

見えないけど、見える。

この景色の中に数え切れないほどの人がいて、
笑ったり、泣いたり、
一生懸命に生きてる。

幸せな気持ちで足取りが軽い人も、
重い足取りで帰路につく人も。

見える景色の全部がキラキラに見える人も、
涙で景色が滲んでいる人も。

手を繋いで歩く親子も、
繋いだ手を離した恋人も。

産まれ

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