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スクランブル交差点の真ん中で

都会のビル群を眺めるとき、
こんな風に思う。

(みんな頑張ってる。)って。

見えないけど、見える。

この景色の中に数え切れないほどの人がいて、
笑ったり、泣いたり、
一生懸命に生きてる。

幸せな気持ちで足取りが軽い人も、
重い足取りで帰路につく人も。

見える景色の全部がキラキラに見える人も、
涙で景色が滲んでいる人も。

手を繋いで歩く親子も、
繋いだ手を離した恋人も。

産まれてくる大声の命も、
静かに眠りにつく最期の命も。

眠らない街に駆け出す男も、
ベッドで枕を濡らす女も。

はじめましての挨拶も、
もう会えないさよならも。

様々でそれぞれの気持ちが、
今日もすれ違っていく。


スクランブル交差点の真ん中で、
ふと立ち止まってみたくなる。

そんな気持ちがあふれる。

時間は止まらないから。
私が止まって世界を見てみる。

がやがや ごそごそ
雑踏の音が遠くにこもって聞こえる。

私が止まっても、
動き続ける世界を感じる。

この止まらない世界で、
有限を生きる私たち。

この世界を知るにはあまりにも未熟な私たち。

無限を願うのはいつも。
有限の世界の私たち。

今日も行き交う人の中のひとり。
私たちはどこまでも強く、優しく、美しい。

#エッセイ  

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