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『SKETCHY』始まりはいつだってかっこ良くいかない。
去年の今頃、私はマキヒロチ先生の『SKETCHY』にとても感銘を受けた。
本作に登場する女性たちは、今の自分の現状に納得がいっていなかったり、過去に何らかの挫折を経験している。そんな彼女たちがひょんなことからスケートボードに魅せられ、スケートボードを通して新しい一歩を踏み出していく物語だ。
『SKETCHY』の登場人物たちは、スケートボードに没頭していくと同時にどんどん輝いていく。その輝きからは、新しいことを始める時に得体の知れない何かに背中を押されているような...あの不思議な力を感じた。
当時の私は、マンガ情報サービス「アル」でライターを始めて1ヶ月が経過した頃だった。まさに新しいことを始めたばかりの自分と『SKETCHY』の登場人物が重なったのだ。つい興奮してしまって、読み終わったその足で一気にレビューを書き上げたことを今でもよく覚えている。
早いものであれから1年が経って、今私はまた別のことにチャレンジしている。
ライター、そして執筆テーマがマンガであること。これは変わらないのだが、求められていることやフィールドが変わるだけでこんなにもうまくいかないものなのか...と正直ここ数日は元気をなくしている。
自分にとって念願の仕事であり『SKETCHY』の主人公たちと同じように「新しいこと」に挑んでいる。なのに、どうしてあの不思議な力を感じられないんだろう、と。
そんなことを思っていた時に、在宅勤務の相棒と化した「Spotify」から一曲の歌が流れてきた。
遥か彼方まで行きましょう チョコドーナツ気楽にかじりゃ希望期待持てるでしょ?あきらめるのはまだ早い 行き詰まった所がほら それが始まりです(徒然モノクローム / フジファブリック)
新しいことを始める時って、必ずしも華やかで輝かしいものではないのかもしれない。むしろ、今思い悩んでいるこの状態もある種の始まりの合図なのだと。
...ちょうど深夜を飛び越えて朝方に聴いていたものだから若干ポエミーな解釈をしてしまったが、この曲のフレーズがとても腑に落ちたのだ。
そう思いながら読み返した『SKETCHY』の1巻。昨年読んだ時とは違って、主人公・憧子(あこ)が初めてスケートボード教室を体験してきたこのシーンが一番印象に残った。
初めてのスケートボードは、ボードに乗るのが精一杯で満身創痍で終わる憧子(あこ)。彼女だって華やかな始まりではなかった。
始まりはいつだってかっこ良くいかないのかもしれない。そんな思い通りにいかない始まりも、1年後には愛せるくらい頑張りたいしこの山を超えたい。