『明日、私は誰かのカノジョ』マンガだけどそれはきっと誰かの人生

マンガ配信サービス「サイコミ」で、今一番私が楽しみにしている連載がある。それが、をのひなお先生の『明日、私は誰かのカノジョだ。

アプリ彼女代行サービスで日々お金を稼ぐ女子大生・雪を中心に、整形やパパ活、ホストに依存する彼女たちを色濃く描いたヒューマンドラマ。

主な登場人物がほぼ女子大生なのだが、服装やLINEの文言、言葉遣いがやたらリアルでそんな臨場感も本作の魅力だと思う。

共感ではなく好奇心

明日、私は誰かのカノジョ』を読んで生まれた感情は共感ではなく好奇心だった。

本作の登場する彼女たちのように、私は人生の中でパパ活や整形、ホストを体験してきたことがない。自分が経験してこなかった人生を『明日、私は誰かのカノジョ』を通して覗くことで好奇心が満たされたし、読んでいて純粋に面白いと感じたし、もっと読みたいと感じたのだ。

現在は、歌舞伎町を巡る複雑な人間模様を描いた第4章が連載中で、純朴な女子大生がひょんなことからホストクラブへと足を踏み入れ、金銭的に余裕がないにも関わらず、どんどん夢中になっていく様子は一種の恐怖さえ感じる。

それはきっと"誰か"の人生

最初は、純粋にマンガとして楽しんでいた『明日、私は誰かのカノジョ』だった。けれど、本作で描かれているあまりにもリアルな彼女たちの物語を読み進めていくうちに、きっと私が経験していないだけで実在する誰かの人生なのかもしれないと思うようになった。

本作では、美醜や整形をテーマに置いた第3章の「1mm」で、人一倍見た目への執着が強く、整形依存症のあやなというキャラクターが登場する。

彼女代行サービスで整形費用を稼ぐあやなは、最終章で客からLINEで暴言を吐かれるシーンがある。それは、見た目に執着しているあやなにとっては腑が煮え繰り返るであろう侮辱の言葉だったが、彼女はそれに対してこういうのだ。

上等だよ。 『明日、私は誰かのカノジョ』57話より

すごく短いセリフではあるが、この時のあやなの挑戦的な表情、そしてどこか覚悟を決めたような眼差しがとても印象に残っている。

きっと『明日、私は誰かのカノジョ』は、この世界で生きる誰かの人生。

命を感じるほど、力強く突き進む彼女たちの人生をぜひ覗いてみてほしい。

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