【アルライターコラボ】情熱とか熱量じゃなくて。
マンガファンの愛で作るマンガサイト「アル」。
私はそこでマンガライターとして、マンガにまつわる記事を企画・執筆をしています。
アルのマンガライターは、私が認識しているだけでも総勢20名...?(いや、もっといるかもしれない)ほど在籍していて、私みたいに会社員の傍らライター活動をしている人もいれば、ブロガーとしても活躍している方、アーティスト、図書館司書...などなどライター陣のプロフィールは多岐に渡ります。
今回は、そんなアルのマンガライターが執筆した数ある記事の中で、私が好きな記事について紹介します。
書くのが難しい記事
昨年の「マンガ大賞2020」で大賞を受賞した『ブルーピリオド』という作品があるのですが、この作品って有名かつ人気すぎるゆえにアル以外のメディアでもレビュー記事や考察記事がたくさん公開されています。
そんな大人気作品のレビュー記事を書くって、すごくハードルが高いことだと思います。
ですが、まさにこの『ブルーピリオド』のレビュー記事こそが、私が一番好きな記事なのです。
それ自体が作品になる
それがこちらの記事。
みじんこさんという方が執筆した記事なのですが「自作の医療ファンタジーの小説をマンガ化する」という目標を掲げていて、小説家・マンガ家・ライターといった様々なアーティスト活動を行っています。
そんな彼女が書いた記事は『ブルーピリオド』の見所でもなく、名言でもなく"『ブルーピリオド』作中の藝大受験対策から学ぶ、初心者がアート作品をつくる時のポイントまとめ"でした。
主人公・矢口八虎が初心者から藝大受験を目指したように、アートに関して素人である読み手にアート作品を作るポイントを指南してくれる記事です。
ネタバレにならないように物語の展開はぼかしながらも『ブルーピリオド』の本筋であるアートを説明しているこの記事は、読み終える頃には一つの学びがあり、続きは本編を読んで確かめたくなる...そんな美しい導線がそこにあるのです。
まるでこの記事自体が一つの作品、そんな衝撃を受けました。
情熱とか熱量じゃなくて
私が執筆した記事に対してよくいただく感想が「作品への情熱、熱量を感じました!」なのですが、この感想をもう少し噛み砕くと...
・マニアックな視点でその作品を読み解いている(その作品が好きすぎてめちゃくちゃ読み込んでいる)
・とにかく文章量が多い(その作品への想いが溢れすぎて長文になる)
・キャッチーな見出し(その作品を全力で推したくてキャッチコピーに全力をかけている)
という意味合いで言われる事が多いです。
もちろんそう評価される事は、マンガが大好きなマンガライター冥利に尽きますし、私自身もそういった情熱・熱量を感じる記事が大好きです。
けれど、そこから更にマンガライターとして成長したいと思った時に浮かんだ記事がみじんこさんの"『ブルーピリオド』作中の藝大受験対策から学ぶ、初心者がアート作品をつくる時のポイントまとめ"でした。
みじんこさんが書かれる記事は「その作品への情熱・熱量」ではなく、読み解き方がとてもユニークで「その記事自体を一つの作品にしようとする気概」をとても強く感じます。
もちろん作品に対する情熱や熱量も大事ですが、この気概こそがみじんこさんの記事の魅力であり、私が心惹かれてやまない理由なのかもしれません。
▼ みじんこさんのおすすめ記事たち
「依存症」という非常にセンシティブなテーマを扱った作品のレビュー記事です。作品に寄り添いつつ、元・医療従事者としての知見をフルに活かしています。ライターとして中立な立場を保ちつつ作品の魅力を伝えるってすごくないですか?
みじんこさんには珍しいニュース記事。自身のプロフィールページに「つくる人が好き。つくる人を応援したい。」と書いているみじんこさんらしい題材です。
タイトル通り一つの作品を人類史と比較しながら読み解いた記事。記事を書く時に大切なのはライティング力だけではなく、その魅力を表現するための知識が重要なのだと実感した一作です。