イージーモードの人生なんてない。
少し忙しくなったり、物事が上手く進まない時はどうしたって隣の芝が青く見えてしまう。
あの子は可愛いから、裕福だから、要領が良いから...。そんな上部だけで「あの子」の人生をイージーモードだと勝手に決めつけしまう時がある。
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安野モヨコ先生の『働きマン』という作品がある。
主人公は女性編集者として働く松方弘子28歳独身。 「いい雑誌を作りたい」その情熱をパワーに、寝食はもちろん恋人のことも後回しにして突き進む。時に自分の働き方や人生に悩むこともあるのだが、仕事モードになると"スイッチ"が入り「働きマン」として覚醒するのだ。
2000年代前半に連載されていたので、今から20年以上も前も作品だ。「働き方改革」なんて言葉が一般化されている今では、あまり共感できない物語かもしれないが、私はこの作品が大好きだ。
仕事で失敗した時や自分の道に迷った時...。ついつい弱気になる私に、松方は喝を入れてくれるし、松方の並々ならぬ仕事への情熱は時にカンフル剤のような役割を果たしてくれる。
そして、この作品が大好きなもう一つの理由がこのコマにある。
松方と同じ女性編集者である野川由実が語るシーンだ。
彼女は、男勝りな松方と違い可愛い容姿とおっとりとした雰囲気が印象的なキャラクターで、それゆえに女性陣から陰口を叩かれることもある。
松方も当初はそんな彼女に対してあまり良い印象を持っていなかった。けれど、彼女と一緒に仕事をして行く内に「見かけよりもずっとしたたかで芯が強い」ということに気付くのだ。
そんな野川由実が自分なりの働き方について語るのがこのコマなのだ。
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『働きマン』は色んな"働きマン"に焦点を当てて物語が進む。
そこから読み取れるのは「イージーモードの人生なんてない」というメッセージだ。
「あの子」がいくら可愛くたって、裕福だって、要領が良かったとしても...。野川由実みたいにきっと「あの子」なりの戦いと人生があるのだ。
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