【出会いは漫画広告vol.4】チー牛広告で話題!『迷宮の王』求めるのは勝利ではなく強さ
新たな漫画と出会うきっかけとなるコンテンツとして、私が最近注目している漫画広告という存在。
広告によっては公開しているシーンやコマのチョイスが本当に秀逸で、思わず1話を購入してしまいたくなる広告と出会った時は、作品はもちろん、この広告クリエイティブを作った方に拍手を送りたくなる。
というわけで、本記事はタイトル通り漫画広告で出会った面白い作品たちを紹介していく企画だ。「あ!これ漫画広告で見かけて気になってた!」という方の参考になれば幸いである。
勢い感じる"チー牛"広告
2月中旬からよく見かけるようになった、講談社が発行する漫画誌「月刊少年シリウス」によるこちらの広告。
まず、とってもTwitterらしいこのテキストに思わずスクロールする手が止まった。テンション高めなテキストとは裏腹に、画像はミノタウロスというギャップ。王道な異世界バトルものかなと思いきや...
最終的には「チー牛」オチ。ちなみに「チー牛」とは、陰キャやネクラと呼ばれる暗くて目立たない性格の人を指すネットスラングで「チーズ牛丼を注文してそうな顔」を総称した言葉だ。この広告でいう「チー牛」とは、「チート牛」のことを指すようだが、Twitterユーザーの心を掴みそうな攻めたテキスト、クリエイティブ…全てに「とにかくこの作品を読んでくれ!」という気概が感じられて勝手に感動してしまった。
迷宮の王に挑む冒険者たちの物語
そんな「チー牛」広告の正体は、「月刊少年シリウス」で連載中の『迷宮の王』。原作は小説投稿サイト「小説家になろう」発の作品で、突然変異を起こし強敵との戦いを求め続ける"迷宮の王"となったミノタウロスと、そんな王に挑む冒険者たちとの戦いを描く。
求めるのは勝利ではなく、強さ
圧倒的な強さを誇るミノタウロスに立ち向かう冒険者という、ごく一般的なダンジョンファンタジー。けれど、ミノタウロスと冒険者、どちらか一方にフォーカスするのではなく両者俯瞰して物語が展開するところが斬新だ。
また、広告でミノタウロスのことを「チート牛(チー牛)」と表現していたが、まさしくその通りで、驚異的な強さで冒険者たちを圧倒する様子は、尋常ではない絶望感が漂っていて、数あるダンジョンファンタジーの中でも、かなりダークよりな作品だと言える。
戦うということは勝者と敗者が必ず存在するが、本作の面白いところはミノタウロス自身が「勝利」ではなく「強さ」を求めているところなのではないだろうか。それは自分自身の「強さ」でもあり、自分の闘争心を満たしてくれる相手の「強さ」でもあり…。少し過激なシーンもあるが、作品を通して伝わってくる緊迫するような強者たちによる戦いは、目の覚めるような迫力がある。
「チー牛」と侮ることなかれ...。チートな「チー牛」の力強さをぜひ堪能してみてほしい。