見つけると嬉しくなる、マンガに登場する隠れマンガ
ディスニーランドには「隠れミッキー」というものがたくさん潜んでいる。
隠れミッキーというのは、各ディズニーパーク内に存在するミッキーマウスを模した小さなミッキーマークのことで、熱狂的なディズニーファンではなくとも、見つけた時はついつい嬉しくなってしまう。
隠れミッキーを見つけた時は、「自分だけが見つけた!」というような何とも言えない高揚感がある。
そんな隠れミッキーを見つけた時と同じような高まりを、最近とあるマンガで感じた。
小さな小さなコマの中に
小さな小さなコマの中に見えるのは、うめ先生の『東京トイボックス』。
秋葉原にあるゲーム制作会社スタジオG3が物語の舞台。とにかく面白いゲームを作ることしか頭にない天川太陽とめちゃくちゃ仕事ができるけどいつも太陽に振り回される月山星乃。そんな凸凹コンビと個性豊かな仲間たちが面白いゲームを作るために情熱を燃やす物語だ。
本作は「お仕事マンガ」を代表する名作だ。そして、私の周りではエンジニアや起業家の方が本作を生涯のベストマンガとして推していることが多い。
そんな『東京トイボックス』が登場したのは『王様達のヴァイキング』というマンガだ。
天才的ハッカーとエンジェル投資家がタッグを組む
『王様達のヴァイキング』とは、天才的なハッキングの腕を持つ18歳の是枝一希と仕事中毒のエンジェル投資家・坂井大輔がタッグを組み、IT業界の頂点を目指す物語だ。
起業マンガとしてはもちろん、手に汗を握るハッカーバトルは王道バトルマンガのような高揚感がある...とてもおすすめの作品だ。
そんな『王様達のヴァイキング』に『東京トイボックス』が登場するのは、1巻に収録されている7話だ。
一希は坂井の投資先である創業6年のゲーム会社に連れていかれる。
ゲーム専用機にこだわりダウンロード式ゲームソフトを製作しているこの会社は、2本目のソフトをリリースしたばかりだ。そんな会社にとって今が一番大事な時期にもかかわらず、サーバに不正侵入された痕跡が見つかったのだ。
一希はサーバの保守に取り掛かるのだが、そんな中どんどん増えていくサイバー攻撃...。サイバー攻撃を受けた理由はぜひ本作を読んで確かめてみて欲しいのだが、この惨状を受けてゲーム会社の代表・玉山は腹を括ってこう言うのだ。
彼が今まで信じてきたもの
坂井に頭を下げながら玉山は今までの前途多難な道のりについて話しだす。
そのワンシーンで登場するのがうめ先生の『東京トイボックス』だったのだ。
『東京トイボックス』はゲーム制作会社の話だ。きっと、玉山は同じゲーム業界で情熱を燃やす太陽に憧れたり、そんな彼の姿に励まされた夜があったのだろう。
玉山が今まで信じてきたもの、支えにしてきたもの。そんな全てを表現するかのように『東京トイボックス』が登場するのだ。
わかる人には伝わるメッセージ
見逃してしまいそうなくらい小さな小さなコマの中に見つけた「マンガ」。
「マンガの中にマンガを発見する」という何だか粋な演出に「隠れミッキー」を見つけた時と同じくらいの高揚感を覚えた。
そして、『東京トイボックス』を知っている人にだけ通じる、玉山が信じて支えにしてきたもの...そんな核たるものに触れられるメッセージなのではないだろうか。
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