「美味しい」を共有するグルメマンガ『おもたせしました。』
朝食、昼食、晩食、晩酌...。様々なシーンの「食」に寄り添ったマンガは数多くあれど「手土産」に特化したマンガは珍しいのではないだろうか。
そのマンガこそがうめ先生の『おもたせしました。』だ。仕事柄、取引先や知人など訪問が多い毎日を送る寅子。「自分が食べたいものを選ぶ!」を信条とする寅子は、訪問先へ向かう際には必ず実在する珠玉の名店グルメをテイクアウトして手土産として持っていくのだが、なんだかんだ一緒に食べてしまう...というグルメマンガである。
美味しいグルメをひとりでゆっくりと味わうのも良いが、やはりこうして誰かと一緒に「美味しい」を共有できるというのは素晴らしいことだと思う。また、外食するより家にお呼ばれすることが増えた昨今、手土産リストとしてとても役立つ情報が詰まっているところも本作の魅力である。
数ある珠玉の手土産が登場する本作の中でも、私が特に気になるのは8話に登場する「高円寺ラザニ屋」のラザニアである。
ラザニア専門店という珍しさ、そして作中でワインと一緒にペアリングを楽しんでいるシーンを見て心惹かれたのだが、理由はもう一つある。
作者・うめ先生の代表作とも言える『東京トイボックス』シリーズの主人公・天川太陽の姉が営む理髪店も高円寺なのだ。8話の冒頭では太陽も登場している。
そして、寅子がラザニアを手土産に持って行った相手こそが太陽の姉なのだ。「これぞ同作者だからなせる技…!」と唸ってしまうこの展開が、マンガ好きの私にとってはとても心を掴まれた。
『東京トイボックス』シリーズのファンはもちろん、手土産リストとしても役立つ『おもたせしました。』。
グルメマンガがお好きな方にはぜひ読んでほしい作品だ。
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