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『よつばと!』2年10ヶ月ぶりの新刊|普通を失ってしまった私たちの背中を押す"よつばの成長"

小岩井よつば(5歳)と彼女を取り巻く周囲の人々との日常を描いた『よつばと!』。本日2月27日に待望の新刊が2年10ヶ月ぶりに発売された。

本作が描くのは、なんてことない日常。けれど、よつばという子どもの目線を通して描かれた日常は、まるで新しいものを見た時のような感動に包まれている。そして、いつも通りの日常を改めて見つめ直して大切にしたくなる...そんな暖かさに満ち溢れた作品だ。

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最新刊では、表紙の通りよつばととーちゃんが「石」を探しに行ったり、とーちゃんの後輩・やんだとバナナジュースを作ったりと本当になんてことない日常だけれど子どもであるよつばにとっての「はじめて」がたくさん詰まっている。

そして、最新刊となる15巻では今までとは少し異なる展開が待っている。それはよつばの「成長」が描かれているところだ。

日常系マンガといえば、一般的に登場人物が歳を重ねないところが特徴的だと思う。例えば、登場人物が学生だとしたら当たり前のように進級しなかったり、誕生日の描写がスルーされたり...。もはや日常系マンガに登場人物の成長を感じさせる描写はタブーなのか?と思えるほどだ。

もちろん、よつばも永遠の5歳児で居続けると思っていたのだが、最新刊15巻のラストではその予想を覆すような展開が待っていた。

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そんな日常系マンガの今までの概念を覆すような感動的なラストを読んだ後に、改めて「普通という奇跡」という言葉を見てみる。

『よつばと!』の単行本の帯には、毎回その巻を表現したかのような言葉が書かれているのだが、今回は読み手である私たちに向けてのメッセージなのではないかと思ってしまった。

昨年から私たちの「普通」は普通でなくなってしまった。よつばたちのように素顔で外を出歩くことも、遠出することも、何もかもできなくなってしまった。そんな失ってしまった「普通」に思いを馳せる一方で、本編で描かれているよつばの成長。永遠の5歳児だと思っていたよつばも成長し、彼女たちの世界も少しずつ前へと進んでいく。

私たちがかつて「普通」だと思っていたものが戻ってくるのはまだまだ先の話なのかもしれない。だからこそ、あの普通の日々が奇跡のことのように思ってしまうけれど、本編で描かれるよつばの成長が、そんな「普通」を失った私たちの背中を押してくれるように感じたのだ。

2年10ヶ月ぶりに新刊が発売された今日は、春を感じさせるような心地よい気候だった。来る始まりの季節に向かって私もしっかりと前へ進んでいきたい...。『よつばと!』15巻は私にそんな小さな勇気をくれた。


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