シングルタスクへの道 その1
最近、どうも、集中力がない。
瞑想しようとしたり、寝ようと試みているとき、ものすごい量の雑念が、脳内を高速で飛び交い、これはイカン! と目が覚めた。
そのときの雑念は、
・その日、聞いていた音楽
・昔の同僚のこと
・トラウマのこと
・明日の仕事のこと
・誰かの噂話
支離滅裂で、脳内が大混乱状態なのであった。
これはまずい、と直感的に思った。
だらだらスマホもやめたいのにやめられないし、いろんなことが前に進んでいないし、気持ちの切り替えができない。
というわけで、思考の大渋滞を解消するために、マルチタスクをやめる決意をした次第である。
「今日から、私はシングルタスク!」
というわけで、手始めに「音楽」を手放してみた。
二十年近く、ほぼ毎日、SONYのウォークマンを肌身離さず持ち、音楽を聴いてきた。もう、何代目のウォークマンなのかも、よくわからないぐらいのヘビーユーザーである。
スマホや携帯を忘れるのは平気だけれど、音楽ナシでの外出は耐えられない。家に引き返すことも頻繁にあった。
音楽に対してこだわりがあるわけではなく、ひとえに耳から絶えず刺激がほしい、あと暇なのが嫌だ、という気持ちであった。
ここ最近、マスクをしているせいなのか、音楽をうるさく感じるようになっていた。
文字通り、耳をふさぐのをやめてから、二日が経過したのだが、特にストレスは感じていない。外出中、音楽がなくても、つまらない、とは思わなかった。
電車に乗れば、電車の音や社内アナウンスなどが絶え間なく流れてくる。
道を歩いていれば、人々の声や車の音、自分の足音、雨音などが嫌でも耳に入ってくる。
これまで、カップルを見かけると軽く落ち込んでいたのだけれど、今日盗み聞きした男女の会話は、
彼女「あー、なんか眠い」
彼氏「なんで眠いの? 授業中、寝りゃいいじゃん。俺なんか仕事してんだよ。社会に出たらもっと大変なんだから、そういう甘い考え方だと苦労するよ」
などと彼氏が超絶うざい説教をしていた。社会人のぼくが世間知らずの学生の彼女に厳しさを教えてやっている、ということなのだろうが、別れてしまえ、と内心思っていた。
音楽を聴いていると、すべてのカップルが仲睦まじく見えるのだが、実際はこういう会話が繰り広げられていたのだと思うと、現実は甘くないと認識を改めざるを得なかった。
音楽を聴くのをやめたもう一つの理由としては、自分のプレイリストに飽き飽きしていた、というのもある。
そして、自分だけの世界に没入する必要がなくなった、というのもある。
ノイズキャンセリングで、音楽の世界にどっぷり浸かり、気持ちを鼓舞したり、思考停止状態を作ったり、日々の疲れから、精神を守ったり、とウォークマンは私にとって、まさに「お守り」だった。
今は、音楽を聴いている最中も、思考があちこちに飛び、そのあげくスマホも見るため、むしろ疲労感が増す一方だった。
注意散漫が原因の忘れ物なども増えているような気がしていた。
情報量が多すぎて、脳の処理能力を超えているのだとしたら、単純にやることを減らすしかない。
どういった変化が起きるのか、紹介していけたら、と思っているし、挫折したら、またそのような記事を書きたいと思う。
(この本も読みたいと思っています)