ドラマ『孤独のグルメ』の効用
以前、わたしはマツコ・デラックスを見ながら夕飯を食べるという記事を書いた。
それは今も変わらず、マツコさんの食べる姿を見るのは好きだし、ほっとする。
今は、マツコさん+松重豊さん(『孤独のグルメ』の主人公である井之頭五郎さん)である。
2021年9月現在、Season9が放送中である。
テレビ東京のヒット作である『孤独のグルメ』は、ずっとぼんやり見ていた。
だから、五郎さんについて、よく知らないまま「食べるおじさん」として漫然と眺めていた。
彼はいつも背広姿なので、勝手に会社員で妻子持ちの中年男性だと思い込んでいた。
取り引き先とのやり取りが終わったあと、こんなにランチを満喫できるなんて、自由なサラリーマンだなあ、と思っていた。
このたび、(失業するため)精神がすり減り、ドラマチックなドラマなんて耐えられない、という心境なので、Amazon Primeでシーズン1から、順々に見ている。
ドラマの1話から見ていくうちに、五郎さんは、輸入雑貨商(個人事業主)で独身であることがわかり、さらに親近感がわいた。
食事に執着するというよりは、食事を大事にして十二分に味わい尽くしてやれ、という五郎さんは、独身の星である。
一人で食べるだけでなく、五郎さんは私生活でも孤独な人でもあるから、視聴者の劣等感を刺激することもない。
気持ちが荒んでいるなか、何も考えずに鑑賞できる気楽さがある。
そして、ダウナーで落ち込んだわたしには、このドラマの情報量の少なさがとても心地いい。
このドラマに人気がある、ということは、つまり、疲れている現代人が非常に多いことを意味しているのだと思う。韓国や中国でも人気があるらしい。どうやら、東アジア人は疲れているようである。
何はともあれ、食べることは生きること。
うまいもんを食べられたら、生活の質が上がること、間違いなしである。
そして、うまいもんを食べる、というのは比較的達成しやすい目標でもある。
もちろん、毎回外食はできないんだけれど、一食一食を大事にしたい。
とはいえ、わたしは昼食を五分で済ませてしまう、早食いなので、五郎さんのような食いしん坊への道はまだまだ遠い。
この記事を書き終わって思い出したことを補足する。
五郎さんの食い意地を支えているのは、自営業者であること、つまり青色申告だからこそできる。(俗にいうところの、経費で落とす、というやつである)
五郎さんはちゃんと領収証をもらっているようには見えないのだけれど、こういう飲食代は、旅費交通費や接待交際費として処理できるため、単なる出費(支出)にならない、という点は、日々のことなので大きいと思われる。