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映画『TENET テネット』(2020)の感想

クリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』をIMAXで観てきた。普通の劇場で観るつもりだったのだけれど、twitterで検索すると、「IMAXで観るべき」というような人が複数いて、「そうなのかもしれぬ」と思い、IMAXにした次第である。

この『TENET テネット』公開に向け、ここ数ヶ月、クリストファー・ノーラン祭りが続いていたわけであるが、それが終わるのが少しさみしい。

さて、観た感想であるが、もう全然わからない(笑)

いや、まあ、いろいろ整理して、時系列の表とか作れば、わかるんだろうけれど、それをしている時間はない。(おそらく、ノーランもそんなこと望んでいない)

ノーラン作品の中では、『インセプション』に近いように感じられた。

しかし、もう、時間の『逆行』という現象が画面で表現されると、なんだか気持ち悪いのである。時間は進んでもらわない、と困ると、本能的に感じているのかもしれない。たとえ、その先に、老いや死があったとしても、進まないことのほうに恐怖を覚えるのだ。

逆行が描かれるたびに、心の中で「エントロピー減少」と呟いてしまった。(間違っていたら、ごめんなさい)

そして、この映画を支えているのは、デンゼル・ワシントンの息子さんのジョン・デヴィッド・ワシントンの独特の暗さだと思われる。まなざしに、ある種の暗さ、諦観のようなものが見え隠れする。父親にある色気が彼にはないが、暗さが魅力的である。それはノーラン監督の世界観と親和性が非常に高いのではないだろうか。それが主人公のキャラクターの弱さを隠蔽することに成功しているようにも思われた。彼は、複雑怪奇な世界にいるにも関わらず、一切葛藤をしない。これは超人的なふるまいでもある。

映画鑑賞後、一晩眠り、「あのオペラハウスでのテロのときに起こった逆行は…」とか気になってきたが、謎解きに一生懸命になると、大変なのでしない。

ケネス・ブラナーは終始怖いし、何度も観たいかというと、微妙なところである。マイケル・ケインもちょい役で出てくる。

ノーラン監督は、映画でしか表現できないこと、大画面でしか意味を持たない表現を考え抜いているのだと思う。だから、テレビサイズだと、何も感じられないかもしれない。映画館に行って損はない。ただし、疲れる、と思う。

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佐藤芽衣
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